世の中にない装置で世界に挑戦!日本装置開発株式会社<2023・12・25>

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最終更新日: 2023年12月25日

ものづくり大賞NAGANO2023で大賞受賞

 日本装置開発は、産業用の検査装置であるX線CTスキャナーを開発製造する会社だ。その装置製造に当たっては、部品の8割を県内企業に発注している地域密着型の企業でもある。

 この産業用X線CTスキャナーという装置は、製品や部品を壊さなくても、モニターに表示された立体的な画像をみることで内部の状態がわかる装置だ。そのため、アルミ製品などを分解しないで(非破壊)、不良品を見分けることが出来る。

 当社の装置の凄いところは、研究室のみならず生産現場での24時間稼働が可能で、さらに従来の装置が、30分から1時間程度かかっていたのを1分で行ってしまう。つまり30倍の速さを実現したという高い性能である。

 これが評価され「ものづくり大賞NAGANO2023」で大賞を受賞した。

自社ブランド製品で次代を狙う

 本製品は同社が手掛けた初の自社ブランド製品である。

 同社の創業は1996年であり、現社長の木下修氏が脱サラをして始めた。木下社長は各種装置の設計を専門としていたことから、翌97年からはX線検査装置の機構部の設計を行い、大手メーカーへのOEM生産を開始した。

 ノウハウを蓄積していく中で、2015年に自動車向けアルミ部品製造のアイシン軽金属(富山県射水市)と共同開発をしたのが、「生産現場用高速CTスキャンシステム」だ。生産現場での全数内部品質保証を可能としたのは、ダイカスト業界初の快挙である。

 スキャン時の操作はボタンとタッチパネルのみで、「早く、きれいに、広く、簡単に」を開発コンセプトに同製品を含め5種類をラインアップした。

 これらの製品は多業種の多品種への適用も可能であり、製造業ラインの高度化への貢献が期待されている。

匠の技能が支える日本装置開発のものづくり

 同社の手掛ける装置は、設計図とのズレが可動部分全てで50マイクロメートル(1000分の50mm)以下に収めなくてはならない。

 これを組み上げるのが同社の熟練技術者だ。

 50マイクロメートルに収めるためには、半分の25マイクロメートルに収まるように組み上げていく。それが要求精度を充たすコツなのだという。

 熟練技術者は、専用の測定器を使い手動で計測していく。手で押したり引いたりの微調整を繰り返すことで、設計図とのズレを25マイクロメートルに収めていく。

 こうした高い技術を生み出す背景には、中小企業ならではの工夫がある。

 木下社長は次のように語られている。

 「我々には潤沢な資金や資源がないので、今手掛けている製品の製造の過程で、次に来るであろう製品の高い精度を作り込んでみる。誤差の範囲が0.1ミリの機械に対して、その10倍の精度で挑戦してみる。そうやって実際の仕事をしながら、技術を開発している訳です」、「また、装置は様々なユニットの組み合わせになるんですが、世の中にないユニットというのが必ずあって、それは自ら作るしかないんです」

 世の中にないユニットを組み合わせた装置は、世の中にない自社独自の装置ということになる。これは自社での値決めが可能だ。

  世の中にあるものを再生産していくことは、無論欠かせない。しかし、利益は薄いものになりがちだ。

 世にないものを作り、価格競争から脱すること。高付加価値を目指す長野県ものづくり企業の方向性だろう。


(資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2023年12月24日放送)
 

 


 

 

 

 

 

 

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