資源循環型社会につながる「廃プラ油化還元装置」と「亜臨界装置」
(株)綿谷製作所は、射出成形機等の組立・配線・運転調整まで一貫して行う組立部門と、機械部品等を加工製造する加工部門、転造盤用ロールダイスを製造する転造ダイス部門の3つの柱で事業を展開しています。
1936年に上田市丸子で創業し、当時は蚕糸業に使用する煮(しゃ)繭(けん)機や操糸機などを製造していました。その後、食料品加工用機械や農機具の製造を経て、60年代に射出成形機や工作機械の部品製造、組立を開始しました。
近年は、「限りなき成長を求めて」をスローガンに、プラスチック油化装置やLED空気清浄機の開発・製造等、新規事業の開拓も積極的に進めています。
廃プラスチックを再利用
イチ押しは、資源循環型社会の実現を目指した装置です。
主な装置は2つあり、そのうちの1つが廃プラ油化還元装置「YUKAKI」です。これは、プラスチックごみから油を生成する装置で、10mm以下に破砕した廃プラスチックに熱を加えることで溶解し、溶解したものを熱分解槽で気化させ、その気体を冷却することにより重油や軽油等に還元する装置です。溶解の際に火を使わず高周波で処理をするため、安全性が高いことに加え、投入するプラスチックに応じてきめ細かい温度制御が可能です。
油化できるプラスチックは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)の3種類で、これらのプラスチックには余分なものが入っていないため、純度が高く処理残渣の少ない良質な油が生成され、発電機やボイラー、農機具等に再利用することができます。
廃プラ油化還元装置。廃プラスチックを油に還元し、再利用できます
加水分解による産業廃棄物処理
もう1つは「亜臨界装置」で、水を高圧・高熱環境に閉じ込めることで、水の分子を拡散・活発化させ、有機物質を分解する高度な処理システムです。
食品廃棄物や家畜排せつ物、医療系廃棄物など多様な有機物を高温・高圧加水分解プラントに投入することで、有害重金属の無害化や細菌・カビ・ウィルスの分解無毒化が可能となります。処理した生成物は家畜飼料や肥料・堆肥、工業資材等として再利用でき、さらに、処理の過程でダイオキシンや二酸化炭素がほとんど発生しないため、地球温暖化や大気汚染の防止にもつながります。この装置を導入することで、廃棄物処理に掛かる費用も削減できます。
亜臨界装置。二酸化炭素やダイオキシンを発生させることなく、有用な生成物をつくり出します
資源循環型社会の実現を目指して
当社は、SDGsや脱炭素といったテーマに積極的に取り組んでおり、資源循環型の社会の実現を目指しています。
「今後も当社の強みである技術力や設備を生かすことで、環境問題の解決に関わっていきたい。そして、時代の変化にしっかり対応しながら、社員が働きやすい職場をつくっていき、地域社会の発展に貢献したい」と綿谷社長は語ってくれました。
資源循環図。廃プラ油化還元装置や亜臨界装置を利用することで、資源循環型社会の実現につながります
産業調査
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