非IT系におけるIT学習のススメ<2023.10.23>

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最終更新日: 2023年10月23日

非IT系でも必要なIT学習

 最近は「リスキリング」や「リカレント教育」など、社会人による学び直しの重要性が高まっています。特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向け、IT人材の育成は業種を問わずあらゆる産業分野で必要となっています。
 ただ、いわゆる非IT系の職種で「ITに関する勉強を」と言われても、何から手を付けて良いのか分からないのが実情だと思います。ITや情報処理に関する資格試験などはたくさんありますが、普段の実務でそこまで本格的にITを扱うことがなければ、いきなり専門的な資格に挑戦するのはハードルが高くなってしまいます。そこで今回は、ITの初歩的な勉強を始めようという方におススメの資格についてご紹介したいと思います。

ITに関する基礎的な知識を証明する「ITパスポート試験」

 まず紹介したいのが、「ITパスポート」です。ITパスポートは、ITを利活用する全ての人が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。具体的には、AI・ビッグデータ・IoT といった新しい技術や開発手法の概要に関する知識をはじめ、経営戦略・マーケティング・財務・法務など経営全般の知識、セキュリティやネットワークなどITに関する知識、そして、プロジェクトマネジメントの知識など幅広い分野の総合的知識を問う試験です。
 この内容からも分かるように、ITなどの技術的な分野だけでなく、企業経営に関する基本的な分野も出題の対象となるため、社会人経験を積んだ方であれば意外に抵抗なく勉強を進めることができます。また、社会人だけでなく、これから社会人になる学生の皆さんにとっても会社のことを知る上で非常に役に立つ資格といえます。
 実際に、多くの企業で社員教育の一環としてITパスポートの受験が奨励されており、2022年度は約25万人が応募し、これまでの累計応募者数も170万人に上ります。ちなみに22年度の応募者データをみると、全体の約8割が社会人で、その内のさらに8割が非IT系企業の所属となっています。年代別では20代、30代が約6割と過半数を占めていますが、40代以上も3割となっており、役職者の方々にもぜひチャレンジしていただきたいと思います。
 試験はCBT方式と呼ばれるコンピュータを利用して実施する試験方式です。2時間の試験時間で、全100問の択一式、合格ラインは1,000点満点中、600点です。合格率は全体で約50%程度と、それほど難しい訳ではありません。また、このITパスポートを取得したからすぐに何かの仕事に就けるというものではありませんが、IT化が進む現代社会で活躍するための能力の証明書(=パスポート)を取得するつもりで最初に取り組んでみてはいかがでしょうか。

ITの安全な利活用に向けた知識を問う「情報セキュリティマネジメント試験」

 ITパスポートに合格した後、次のステップとして紹介したいのが「情報セキュリティマネジメント」です。これは、ITパスポートの試験範囲にも含まれていた情報セキュリティの視点を深め、会社の情報漏洩のリスク低減や、セキュリティトラブルが発生した際の被害を最小限にとどめるなど、ITの安全な利活用を推進する方に不可欠な基本的知識や技能を問う国家試験です。
 従って、業務で個人情報を取り扱う方や、情報管理を担当する方、そしてITを利活用する立場でより能力を高めたい方などにお勧めです。こちらもITパスポートと同様のCBT方式で、試験時間は2時間。全60問の択一式で、1,000点満点中600点が合格基準です。

IT学習に向けまずは一歩を

 今回はITの利活用に関する基礎的な資格試験を2つご紹介しました。ITについて何か学習を始めたいと思っている方、何から始めたらいいか迷っている方、ぜひITパスポートや情報セキュリティマネジメントの学習で一歩を踏み出してみてください。

 

2023年10月23日放送 SBCラジオ「Jのコラム」より

 

 

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