県内主要市の商圏の現況と大型商業施設立地の影響<2023.7.14>

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最終更新日: 2023年7月14日

県内主要市の商圏の現況

 長野県産業労働部が3年に一度公表している「長野県商圏調査報告書」では、県内の市町村単位での商圏構造の現状や、大型商業施設などの立地に伴う吸引力の変化等を見ることができます。
 県内主要市のうち長野市と松本市は、図表1の通りいずれも商圏人口が60万人に達し、周辺地域から多くの消費者を吸引して大商圏を構成しています。店舗面積2万㎡以上の大型商業施設が立地する上田市と佐久市の商圏人口は共に20万人を超え、吸引力係数も県内で上位に位置しています。
 岡谷市、諏訪市、伊那市、飯田市の商圏人口はいずれも10万~20万人の範囲にあり、それぞれが独自の商圏を築いていますが、南信地域全体をカバーするほどの規模には至っていません。
 本調査から、大型商業施設の立地が具体的に商圏にどのような影響を与えるのかも分かります。例として、佐久市と岡谷市、および岡谷市に隣接する諏訪市の吸引力係数の推移をみてみましょう。

県内で吸引力係数が最も高い佐久市

 佐久市は1999年開業の「イオンモール佐久平」を中心に商業施設の整備が進み、同市の吸引力係数は、97年に146.2%、2000年に202.0%、03年に230.6%と大きく伸びました(図表2)。
 21年度は187.4%にやや低下しているものの、同市の吸引力係数は県内主要市の中でも最も高く、市内の商業施設が居住人口を大きく上回る人々を吸引しています。

相互に影響し合う岡谷市と諏訪市の商圏

 岡谷市は14年に「アピタ岡谷」が閉店し、同市の吸引力係数は12年の80.7%が15年は65.4%と低下しました(図表2)。一方、隣接する諏訪市は12年の127.2%から15年は140.0%と上昇しました。この期間、岡谷市の買い物客の一部が諏訪市に流入していたと考えられます。
 ところが16年に「レイクウォーク岡谷」が開業すると、岡谷市の吸引力係数は18年に100.1%と大幅に回復し、逆に諏訪市は18年に125.7%と低下に転じました。
 このように、地域の大型商業施設の動向により商圏に影響を及ぼしていることがうかがえます。
 

※ 経済月報2023年7月号掲載の調査「大型商業施設の立地と商圏の変化」では、県内主要市の商圏の現況のほか、2024年以降に須坂市に開業予定の大型商業施設が地域に与える影響や効果について、山梨県昭和町や石川県白山市の事例を踏まえて紹介しています。ぜひ、ご覧ください。

 

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