職場における社員のキャリア形成<2023.7.10>

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最終更新日: 2023年7月10日

 「学び直し」、「リカレント教育」といった言葉を耳にしますが、職場における社員のキャリア形成への実効性を高めるために、どのように取り組めばよいかご案内します。

 経済・社会環境が急速にかつ広範に変化する中、企業が収益を上げ続けていくためには、今の時代に求められるスキルを持った人材が必要です。国のガイドライン等を参考に、社員の自発的な学び直しの支援や多様な働き方を検討していくことが重要です。

1.国の「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」

 厚生労働省は、20226月に「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を公表し、労使が取り組むべき事項として図表1の内容を示しています。

 (資料)厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」

2.公的な支援策の活用

 キャリア形成において活用したいのが、「教育訓練給付金制度」です。厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・終了した人に対して、費用の一部が支給される制度です。費用の20~70%、最大224万円まで支給されるケースもあるので、社員に制度を周知し、活用を働きかけることが有効です。下記URLにおいて条件を入力して検索が可能です。

https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/?u

 23年3月には、ガイドライン別冊が公表されました。職場における学び・学び直しの実施に向けて、「教育給付金制度」を含む公的な支援策の内容とその利用法が、図表1の(1)~(13)のそれぞれの項目に対応する形で整理して紹介されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/guideline.html

3.社員の自発的な学び直しを支援する

  企業には、働きながら学べる環境を整備し、資格取得やスキルアップが処遇に反映されるよう、柔軟な働き方の導入や人事制度の見直しが求められるようになっています。これにより、社員の自発的な学び直しを支援することが重要です。

 推奨資格や求めるスキルのレベルを定め、「どの職種や役職にはどんな能力が必要か」という点を、できる限り示していくことが有効です。その上で、1on1ミーティングやフィードバック面接などを通じて、企業の方向性と社員の意向を擦り合わせてキャリアアップの支援ができると良いでしょう。

4.多様な働き方への対応が求められています 

 そのほか、「副業・兼業の解禁」を通じて、社員のキャリア形成につなげようという検討も増えており、厚生労働省では「副業・兼業の促進に関するガイドライン」も公表しています。

 若い世代ほど、自分が希望する働き方を選べる環境を求める傾向があります。副業・兼業などの導入を検討する際には、健康管理や労務管理において支障を来すことのないよう、社会保険労務士など専門家と相談しながら制度整備をすることが必要です。

 本稿は、経済月報2023年7月号の相談コーナーの記事を加除修正したものです。

(主席コンサルタント 岩下宏文)

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