厳しい収益環境の中、積極的な賃上げを実施する県内企業<2023.6.12>

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最終更新日: 2023年6月12日

 

賃上げに前向きな企業割合は約9割

 当研究所が実施したアンケート調査によると、23年度に「賃上げをする」企業割合は60.4%、「賃上げを検討している」(28.1%)と合わせた賃上げに前向きな企業割合は約9割となりました(図表1)。
 賃上げに前向き(「賃上げをする」と「賃上げを検討している」の合計)な企業の賃上げの内容を図表2でみると、「定期昇給」が84.9%と最も多く、「ベースアップ」は64.1%となりました。これらの企業に「定期昇給」と「ベースアップ」を合わせた賃金増額率を尋ねたところ、平均増額率は3.47%(中央値3.00%、回答企業数174社)となりました。

図表1 業況と賃上げ状況 

図表2 業況と賃上げ内容

業況が「悪い」企業も8割超が賃上げに前向き

 続いて、業況と賃上げの関係をみると、当期業況(23年1-3月期)が「良い」企業のうち、「賃上げに前向き」な企業割合は90.4%、同じく「悪い」企業では86.1%となりました。また、来期業況(23年4-6月期)が「良い」見通しの企業では94.8%、「悪い」見通しの企業では83. 7%と、業況が「良い」企業も「悪い」企業も、8割以上が賃上げに前向きです。
 また、賃上げに前向きな企業について、賃上げの内容を業況別にみると、業況が「悪い」企業でも約7割が「ベースアップ」を実施する見込みとなりました
 

 

価格転嫁を進められるかが賃上げ定着の第一歩

 こうした背景の1つが、厳しさを増す人手不足です。各企業は賃上げをしなければ賃金格差が広がり、人材獲得競争に敗れてしまう状況に置かれています。
 こうした中、今年度、県内企業は積極的な賃上げを実施し、従業員の待遇改善を図る見通しです。一方で、賃上げは企業収益を圧迫する要因にもなります。今後、積極的な賃上げと経営の持続性を確保していく上では、遅れている価格転嫁を進めるなど、賃上げの原資を確保していくことが必要となります。さらに、企業が人材投資や新技術の導入・省力化などの設備投資を行い、生産性を向上させることも重要なポイントになるでしょう。

*今回のレポートの詳細は経済月報6月号トピックスに掲載しておりますので、ぜひご覧ください

 (2023.6.12) 

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