シカ・カモシカなどによる食害から幼木を守る「ウッドガードGP」

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最終更新日: 2023年5月10日

 1948年創業の信濃化学工業(株)は、「業務用食器」、「工業部品」、「森林および環境関連」の3つの軸で、独自のモノづくりを進めるプラスチックの総合メーカーです。創業以来、オリジナル食器の開発から製造販売と業容の拡大を図りながら、OA機器、車両部品、家電など、あらゆる分野に製品を提供してきました。
 さらに、20年ほど前からは、山林での野生動物による食害等を防ぐ環境配慮型製品を市場に提供しています。 

生分解性プラスチックを使用した食害対策資材

 同社のイチ押しは、生分解性プラスチックを使用した苗木の食害対策資材「ウッドガードGP」です。本製品は環境配慮型であることに加え、本体に苗木のムレ防止対策として120個の通気孔があるため、樹木の成育を阻害しない構造となっています。
 生分解性プラスチックは、紫外線と微生物の働きによって最終的に「水」と「二酸化炭素」に分解され、自然界へと循環していくため、環境に優しいプラスチックとして注目を集めています。同社は、この生分解性プラスチックを100%用いた製品を独自に開発し販売しています。

 

生分解性プラスチックは、最終的に「水」と「二酸化炭素」に分解され、自然界へと循環していきます
 

環境に優しく資材回収が不要

 生分解性プラスチックを使った製品を山林向けに提供しようとした背景には、市街地ではプラスチックゴミの収集体制が整備されていますが、山林などにはそれがないという問題意識がありました。
 山林で植樹された幼木を獣害から守るためには、従来プラスチック製の防護柵などが使用されてきました。ただ、木が成長して役目を果たした後も、一部の防護柵などが回収されず山林に残ってしまったり、たとえ回収できても資材の撤去コストがかさむという問題がありました。
 こうした問題に対して、「ウッドガードGP」は樹木が成長する頃には自らを分解するため山林に残ることはなく、加えて資材撤去の必要もないため、コストの削減も可能となります。

種類が豊富な環境問題に配慮した製品

 同社は、「ウッドガードGP」以外にも豊富な種類の製品を取り揃えています。例えば、ネットタイプで食害対策のほかさまざまな目的に使用できる「クリーンバリア」やクマ・シカによる皮剥ぎ、角こすり被害から成木を守る「ウィリーGP」、マツクイムシ・カシナガキクイムシなどの害虫を燻蒸処理する際に使用するプラスチックシートの「まつのじょう」などです。いずれも生分解性プラスチックを使用しているため、環境に優しい製品となっています。
 近年は公共事業等に地元産木材を活用する動きも増え、地元産カラマツを材料に指定されたベンチや書棚等を受注した際は、同社が生産した木材を使用しています。また、県内では調達しにくい樹種の材料を指定されることも増えており、同社の全国に広がる調達ルートを活用できることが強みになっています。
 「持続可能な社会に向けて、プラスチックの持つ特性を上手に活用し、自然との共生を図り、長野県をはじめ全国の森林を守っていきたい」と、小野社長は思いを語ってくれました。

写真左上は「ウッドガードGP」、時計回りに「ウィリーGP」、「まつのじょう」、「クリーンバリア」
 

 
 

  信濃化学工業株式会社

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