新型コロナ回顧と今~長野県経済報告~<2023・04・20>
新型コロナが季節性インフルエンザと同じ分類に
いよいよ来月8日には新型コロナの感染症法上の分類が2類から、季節性インフルエンザと同等の5類に引き下げられる。これで新型コロナ感染防止対策として行われてきた様々な制約は大幅に緩和される。
5月8日以降はアフターコロナの世界となり、経済が正常化に向かうことが期待される。
改めて、新型コロナが経済に与えた影響を振り返りながら、足元の経済情勢を確認したい。
新型コロナでマイナス成長となった20年度、低迷する21年度
新型コロナの感染拡大が始まった2020年度の日本の経済成長率は、マイナス4.1%と大きく落ち込んだ。
マイナス成長となるのはリーマン・ショックの影響があった09年のマイナス5.7%以来、11年ぶりのことである。
感染拡大対策として発出された2度の緊急事態宣言(以下、宣言と言う)の影響が大きかった。
最初の宣言があった20年4-6月期のGDPは、対前期マイナス7.9%と大きく落ち込んだ。その後、プラスへ転ずるが、2度目の宣言により21年1-3月期は再びマイナス0.2%へと落ち込む。
翌21年度も2度の宣言と1回のまん延防止等重点措置(以下、まん防と言う)が発出されたため、経済はブレーキがかかったままで、成長率は2.5%増にとどまった。
宣言は新型コロナ拡大には一定の効果があったとされるが、行動制限を強いるために経済にとっては劇薬だったことが分かる。
長野県経済の20・21年度はK字型の回復
コロナ禍においても、最初の宣言の影響が薄れると、長野県製造業はV字型に回復を遂げる。
その理由は、世界的な5Gの普及やリモート勤務などでPC等幅広い分野でIT関連需要が拡大し、長野県製造業の強みである電子部品・デバイスや生産用機械等が需要を取り込んだからだ。
一方の観光業や小売業などが属する非製造業は、行動制限を強制する宣言で大きく落ち込んだ。
結果、製造業との回復格差が起こり、長野県経済は回復する製造業と低迷する非製造業のK字型の回復となった。
22年、急ブレーキがかかった製造業と浮揚する非製造業
ところが、2021年後半から22年に入ると、V字型に回復してきた製造業に急ブレーキが掛かった。
世界が新型コロナ禍からの正常化で物価が上がってきたところに、2月のロシアのウクライナ侵攻がインフレを加速させた。
そして、このインフレに対し各国の金融引き締めが強化され、世界には景気減速が徐々に広がった。世界を相手に輸出をしている製造業はさらに厳しい状況となった。
一方、非製造業は、新型コロナの落ち着きと宣言等の強い行動規制が22年3月のまん防を最後になくなったことや、春先には善光寺御開帳や諏訪大社御柱祭などビックイベントがあったことなどから回復基調に転じた。
23年度、コロナから脱し・・・
上図に見るように、長野経済研究所が3カ月毎に実施している「長野県業況アンケート調査」の23年3月調査の結果では、非製造業がプラス8に対し、製造業がマイナス13.6と勢いが逆転してしまった。
足元ではようやくアフターコロナともいうべき状況となり、非製造業は回復を遂げている。しかし、資源価格高騰に加えて海外経済の不透明さが増しおり、製造業の低迷が著しい。
3年間苦しみぬいたコロナからようやく本格的に脱する時を迎えたのだ。
非製造業が担う内需を起爆剤として、跳ね返していきたい。
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