勤務間インターバル制度への対応<2023.2.10>

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最終更新日: 2023年2月10日

 現在は努力義務となっている、勤務間インターバル制度の内容とその対応についてご案内します

1.一定時間の休息の確保が努力義務です

 勤務間インターバル制度とは、勤務終了後から一定時間以上のインターバル時間(休息時間)を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保しようとするものです。例として、図のようなものがあげられます。

2.導入により3つの効果が期待できます

(1)従業員の健康の維持・向上

 厚生労働省の「制度導入・運用マニュアル」によると、インターバル時間が短くなるにつれてストレス反応が高くなるという調査結果があります。また、インターバル時間が12時間を下回ると、疲労感が残ることが示されています。看護師を対象とした調査では、インターバル時間が11時間未満の場合、翌月の病気休暇日数が増えるというデータも紹介されています。

 十分なインターバル時間の確保が、従業員の健康の維持・向上につながることを示唆しています。

(2)従業員の確保・定着

 日々のインターバル時間を確保し、健康的で働きやすい職場でいることは、従業員のワーク・ライフ・バランスの充実につながり、人材の確保・定着につながります。

(3)生産性の向上

 制度導入により、従業員は「仕事に集中する時間」と「プライベートの時間」のメリハリをつけることができるようになります。従業員の仕事への集中度が高まり、製品・サービスの品質水準の向上のみならず生産性の向上につながると言われています。

3.適用除外規定の導入で緊急時に対応します

 制度の導入に際して企業が懸念するのは、緊急時の対応です。既に導入済みの企業や先行するEU各国での運用でも、事前に適用除外のケースを定めています。

 適用除外となる業務例としては、「重大なクレームに対する業務」、「突発的な設備のトラブルに関する業務」、「海外事案の現地時間に対応するためのWEB会議」などが想定されます。また、適用除外を設定する場合、「適用除外の範囲」、「適用除外とするかの判断手続」、「適用除外を認める回数の制限」、「発生した場合の健康確保措置」などを検討し、制度の趣旨が守られるための対策を講じることが望まれます。

 

4.開始時刻を超える場合は働いたとみなします 

 勤務終了後に定められたインターバル時間を確保することで、翌日の勤務開始時刻が所定勤務開始時刻を超えてしまう場合があります。

 その場合、(1)インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複する部分を働いたものとみなす、(2)翌日の勤務開始時間を繰り下げる、という2つの対応がありますが、(1)を採用するケースが多いようです。いずれにしても、賃金控除を行うのは制度の趣旨と異なります。

 2022年11月には与党内に推進プロジェクトチームが発足するなど、義務化に向けた動きが活発化しています。導入にあたっては、厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」にて、内容をご確認下さい。

 本稿は、経済月報2023年2月号の相談コーナーの記事を加除修正したものです。

 図の出典:厚生労働省「勤務間インターバル制度・運用マニュアル」

(主席コンサルタント 岩下宏文)

 

 

 

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