朝搾り果汁を丁寧な手仕事でゼリーにした「三宝柑福居袋」

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最終更新日: 2023年1月11日

 (株)飯島商店は、上田市にある老舗菓舗です。江戸時代より穀類を商い、1900(明治33)年頃水あめの製造で菓子製造業に事業を転換し、果物を使ったジャムや菓子の製造を進めました。そして、明治末の1910年頃に「みすゞ飴」の製造を開始して大人気の商品となりました。この美しく古風な響のある「みすゞ」とは、信濃の枕詞で「篠竹(スズタケ)」のことです。
 同社の本店は、上田市を代表する歴史的な建築物で国の登録有形文化財となっています。
 

紀州徳川家に愛された三宝柑を使った高級ゼリー「三宝柑福居袋」 

 イチ押しの商品は、和歌山県特産の柑橘「三宝柑」の皮を容器とし、絞りたて果汁のみで作られた高級ゼリー「三宝柑福居袋」です。
 三宝柑は、果汁が多く爽やかな味わいで外観はだるま形なのが特徴です。江戸時代には、その形の珍しさとおいしさから、紀州徳川家の殿様へと三方に乗せて献上したと伝えられ、それが名前の由来にもなった縁起の良い柑橘です。
 和歌山県には、その三宝柑の皮を使い、おめでたい宴席で料理の器とする文化があります。その文化と同社が得意とする果汁ゼリー作りの情熱が合わさって三宝柑福居袋が生まれました。福居袋とは、皮の容器を「袋」に見立てその中に閉じ込めたもので、三宝柑果汁のゼリーに「福が居る」ことを願って名付けられたものです。
 発売から約40年が経過しますが、11月中旬から3月までの季節限定商品として同社の人気商品となっており、冬のギフト用途としても喜ばれています。

 

紀伊徳川家に献上され、好んで食されていたと伝わる三宝柑
 

丁寧な手作りで三宝柑のフレッシュさをそのままお届け 

 原料の三宝柑は、和歌山県の山あいのベテラン農家に委託し、採れたてで一定の大きさのものを選定して当社へ直送されます。中身のゼリーは、三宝柑の実の生果汁を搾り、寒天・ゼラチンと砂糖(白ざら糖)を加えて作られます。器は、形状や艶等がふさわしい品質で、みずみずしい葉が1枚付いた三宝柑が選ばれます。熟練の職人の目で厳選され、果皮を傷めないように1つずつ手作業で実をくり抜き、容器にしています。
 見た目も気を配られ、商品のラッピングも手作業で1つ1つ美しい外観に仕上げています。職人の手による細部にまでこだわった商品はまさに芸術品です。また、三宝柑は時期によって色合いが異なり、季節の移ろいを楽しめるのも特徴となっています。
 

商品の品質、伝統を守り、地域の信頼に応える 

 シーズン中は毎日がフル生産の状況になりますが、数は追わず1つ1つ丁寧な商品づくりを守っています。「長野県を代表する伝統菓子『みすゞ飴』を守るとともに、国の登録有形文化財である建物も守り、地域の信頼に応えていきたい」と、飯島新一郎社長は語ってくれました。

 

  柑1枚の葉が付いた高級感のある三宝柑福居袋。                                   カットすると柑橘のさわやかな香りが広がる寂が心と体を整えてくれる
 

 
 

  みすゞ飴本舗 株式会社飯島商店

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