年末の消費動向調査から2022年を振り返る<2022.12.26>

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最終更新日: 2022年12月26日

年末恒例の「消費動向調査・年末調査」

 今回は、私ども長野経済研究所が毎年実施している「消費動向調査・年末調査」の結果を中心に、今年1年の出来事や景況感などについて振り返ってみたいと思います。
 この年末調査は、12月上旬に県内の2,925世帯を対象にインターネットを通じて実施しました。

今年の漢字は3年連続で「耐」

 まず、毎年恒例の「今年を表す漢字一文字」を聞いたところ、1位は3年連続で「耐(たえる)」となり、2位が「苦(くるしい)」、3位が「忍(しのぶ)」となりました。ちなみに、昨年の調査では1位が「耐」、2位が「忍」、3位が「苦」でしたので、この上位3つの漢字は昨年と変わりませんでした。新型コロナがなかなか終息に至らない中、耐え忍ぶ苦しい生活が続いているという受け止めが多いようです。また、続く4位には最近の物価高などを反映し「高(たかい)」が入りました。この物価高もコロナ同様に、この1年で消費者を苦しめ、忍耐を強いる大きな要因になったことが伺えます。
 次に、今年1年で印象の強かった出来事を尋ねると、1位は「ロシアによるウクライナへの侵攻」で、8割以上の方が回答されました。2位は「食品、雑貨、燃料など相次ぐ値上げ」で約7割、3位は「安倍元首相、銃撃され死亡。9月に国葬が執り行われる」で約6割という回答結果でした。この他、4位に「ドル円相場が1ドル150円台に乗せ、約32年ぶりの安値水準を更新」、6位に「北朝鮮による相次ぐミサイルの発射」が挙げられ、今年は上位に我々の生活や平和を脅かす国内外の衝撃的な出来事が並びました。ちなみに、日本中に感動を与えた「サッカーW杯」は開催時期が本調査期間と重なったこともあり、5位にランクインしました。

厳しい景況感の中、消費を促す新たな商品やサービスに注目

 今年の「世の中の景気」について聞くと、「悪かった」が37.4%、「やや悪かった」が39.1%となり、合わせて8割近くの方が、景気が「悪かった」と回答しました。新型コロナの感染拡大に加えて物価上昇なども影響し、厳しい見方が多くなりました。
 来年の見通しについては、「良くなる」(良くなる、やや良くなる)が14.1%にとどまった一方、「悪くなる」(悪くなる、やや悪くなる)が47.5%となり、より多くの方々がさらなる悪化を見込むという結果になりました。この背景には、消費者の皆さんが、来年も新型コロナの感染拡大や物価上昇が続くとみていることなどが考えられます。
 このように消費に対する慎重姿勢が続く状況下ですが、他方ではITなどの技術進歩により、消費を促す新たな商品やサービスが注目されています。それらの中で今年、利用・購入頻度の高かったものを聞くと、「キャッシュレス決済」(45.8%)、「マイナポイント」(35.3%)、「飲食店のテイクアウト、ウーバーイーツ」(22.7%)のほか、「5Gスマホ」、「WEB会議サービス(Zoomなど)」、「フリマアプリ(メルカリなど)」などが挙げられました。また、来年の利用・購入意向では、今年上位に挙げられたものに加え、「ふるさと納税」や「電気自動車」なども上位となりました。こうした商品やサービスの利用により、少しでも生活を便利に、効率的に、あるいはポイントで得をしたり節約につなげたいといったニーズを満たすものが人気を集め、生活に浸透してきている様子が伺えます。

メリハリのある消費行動を

 コロナや物価高、戦争といった不安要素が来年の消費行動にどの程度影響を及ぼすかは不透明な状況ですが、それでも、やはり消費はGDPの約6割を占める経済の主役です。厳しい景況感の中でも一方的に慎重になるのではなく、新たな商品やサービスなども活用しながら、それぞれの環境や状況に応じたメリハリのある消費行動を期待したいと思います。 

2022年12月26日放送 SBCラジオ「Jのコラム」より

 

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