自然の恵から生まれたさわやかな酸味と旨み「帰山」参番純米吟醸生酒

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最終更新日: 2022年9月9日

 千曲錦酒造(株)は、1681(天和元)年創業の老舗の酒蔵です。代表銘柄「千曲錦」は、美しい紅葉が千曲錦の川面に映えている様を美酒に重ねたことで命名され、古くから地元に愛され育まれてきました。また、銘柄「吉田屋治助」は、屋号と初代社長の名「治助」を冠して命名され、「帰山」は、専門店の限定流通銘柄です。

甘さと酸味で個性が際立つ帰山参番純米吟醸生酒

 イチ押しは、「帰山」参番純米吟醸生酒です。参番とは同社では純米吟醸を指します。壱番は純米大吟醸袋搾り、弐番は純米大吟醸ですが、現在は、参番と、五番の純米のみ製造販売しています。
 特徴は、熟成された芳醇でふくよかな米本来の旨味・コク・甘酸の調和にあり、中でも甘さと酸味を合わせ持つところに強い個性があります。この個性は原材料と酒造りに適した環境から生まれました。原材料の米は、地元の契約農家で栽培した酒造好適米美山錦を100%使用し、精米歩合は55%です。また、仕込みの水は浅間山の伏流水を酒蔵の深井戸から汲み上げて使用しています。この水はやや硬水のため、甘さや酸味を際立たせてくれます。さらに、浅間山麓の涼冷な気候が酒造りには最適な環境となっています。
 「帰山」という名称には、「山へ帰る」、「ふるさとへ帰る」、「自らに帰る」、「酒造りの原点に帰る」という意味があります。そして多くの酒を巡った後に、「これでなければ」と感じて帰ってきて欲しいとの思いが込められています。       

帰山参番には、純米吟醸、純米吟醸生酒、純米吟醸生酒に
ごりざけの3種類がある。写真は、純米吟醸生酒

海外市場に向けて輸出にも注力

 帰山を造り始めた約30年前は、酸味のある酒はめずらしく、専門店の販売ルートでもしっかり説明して販売しないと、個性が強すぎて分かってもらえないこともあったといいます。
 しかし、酸味のある同酒の特徴は、白ワインに似ていると言われることも多くありました。そこで近年は、ワイン文化の根付いた欧州、米国、オーストラリア、香港など、海外への輸出にも力を入れています。まだ売り上げは大きくありませんが、国内需要が縮小する中で、今後、海外市場を重視していく考えです。

地域資源の蜂蜜を原材料にした酒造りにもチャレンジする

 また同社は、清酒だけでなくその他の酒づくりにも取り組んでいます。佐久市は、品質の高い蜂蜜の産地となっており、この個性的な地域資源を原材料にした酒「ミード」を醸造し、10月に発売を予定しています。蜂蜜酒ミードは世界最古の酒とも言われ、話題性もあるほか美容にも良いとされていることから、幅広い世代の女性をターゲットにしています。また、世界的な観光地である軽井沢町が近いという地の利も生かし、観光客を通じて東京や世界に向けた情報発信にもさらに力を入れる方針です。
 「今後も、常に柔軟な発想で、お客様に喜ばれる酒造りを目指していきたい」と鎌田晴之社長は語ってくれました。

 

 

左から、同社の主な銘柄である千曲錦純米吟醸、
吉田屋治助吟醸、帰山純米吟醸

  


 

 千曲錦酒造株式会社

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