コロナ禍からの脱却 「街に出て、県内観光を楽しんで」<2021・11・29>
長野県内の療養者数はついにゼロ
8月下旬をピークとしたコロナ第5波での陽性者は減少の一途をたどってきており、現在ほぼ収束したものと思われる。
全国の11月26日の新たな感染者はわずか121人にまで減っており、うちゼロの都道府県は長野県を含め29府県となっている。
そして、長野県では、新たな感染者がこのところ15日連続でゼロで推移してきており、結果、11月26日にはコロナでの療養者もついにゼロとなった。
第6波への備えや、それを防ぐための感染防止対策が必要なことは言うまでもないが、第5波収束の現状を踏まえるなら、コロナで押し下げられた地域経済を通常に戻す行動を加速しなくてはならない。
コロナ禍によって引き裂かれた長野県経済
ここまでのコロナ禍による経済への影響を振り返っておきたい。
日本経済はコロナ禍により2020年度の実質GDPは対前期マイナス4.4%と押し下げられた。21年度に入っても4‐6月期はプラス0.4%と持ち直すように見えたが、7‐9月期には同マイナス0.8%と再び減少した。
長野県経済も同様に厳しい状況にある。特に非製造業が厳しい。
昨年の全国を対象とした緊急事態宣言により長野県経済も大きく落ち込んだ後、回復路線をたどってきた。しかし今年に入り、3度にわたる緊急事態宣言により、非製造業がひどく落ち込んでしまった。
製造業はコロナ禍によるリモートワークなどの増加によりPCをはじめとする情報関連機器の需要が増加し、普及が始まった5Gも追い風となった。また、自動車需要も盛り上がりを見せ、急増する需要に逆に半導体供給が追い付かないといった状況にさえある。
反して非製造業は、緊急事態宣言により人が移動することを控えることが多くなり、感染への恐れや、社会的な「外出控え」「宴会控え」等の空気から会食の機会も激減した。結果、宿泊、旅客などの観光関連業や、飲食を含めたサービス業は「お客さんが来ないため売り上げが立たない」といった状況に陥ってしまった。
長野経済研究所の7‐9月期の業況アンケート調査によれば、製造業の業況判断DIはプラス9.8とコロナ前に戻っているが、非製造業はナイマス34.4と東日本大震災があった時期と同水準に落ち込んでいる。
長野県では、回復する製造業と低迷する非製造業が共存する「K字型」の回復構造となっている。
今必要な経済活動の再開
コロナ禍で大きく押し下げられた長野県経済ゆえに、第5波が収束しているのなら、経済活動の再開に向けた努力を開始しなくてはならない。特に非製造業の回復は喫緊の課題である。
長野県庁でも、第5波の収束を見た10月8日に「社会経済活動の活性化に向けた申し合わせ」(以下、「申し合わせ」という)を、市町村、各経済団体との連名で行っている。
優れた取り組みだが、長野県内を見渡すといまだ凍てついた雰囲気のままだ。
「申し合わせ」では「第5波もほぼ収束した状況の中で、コロナ禍の影響を大きく受けた県民・事業者の皆様を支援し、社会経済活動を再開させていくことが必要。このため、県が進める、9月下旬から 11 月までの『コロナを克服する2カ月』に協力し、コロナ禍の克服に向けた取組により県内の社会経済活動を促進します」と宣言している。
以下「申し合わせ」を参照しつつ、我々の経済再開のためのなすべきことを記したい。
飲食、観光を我々が盛り上げていこう
具体的には、「感染防止対策を徹底し、外出や会食・県内旅行など、県内での社会経済活動を率先して再開します」として会食や県内旅行を行う事、併せて、ワクチン接種しやすい職場づくりや、感染拡大時の警戒レベルに応じた行動の必要性などを呼び掛けている。
まずは、感染対策を十分に施した長野県が認定する「信州の安心なお店」等に足を運んで、感染防止対策を行いながら、今まで行ってきたように職場での会食などは再開していただきたい。
次に、観光だが、最近ではだいぶ県外ナンバーの自動車も見受けるようにはなってきたが、先ずは、我々が県内観光地や県内の温泉地(「信州の安心なお店」や「新型コロナ対策推進宣言の店」を優先的に)を使うことが必要だ。
県内では近くて泊まるのはもったいないと思われる人は、東北信の皆さんは中南信に、中南信の皆さんは東北信に出かけてみてほしい。長野県は広く、泊まらなくては行ききれない観光地がある。
それでも県内なら車で2時間もあれば帰ってこられる、泊まるまでのことはない、という人もいるかもしれない。そのような人のために「県民支えあい県民割special宿泊割」が用意されている。これは県内宿泊施設に泊まる県民を対象に例えば宿泊費10,000円以上なら5,000円と観光クーポン 2,000円が使えるというものだ。
この機会に県内温泉に泊まらない手はない(12月23日(木)の予約・宿泊分までが割引対象)。
コロナ禍から脱却は生活の場の回復
我々のこの行動は、長野県の経済回復のために是非必要な事だ。
しかし、それぞれの生活を支える「収入源」は、地域の飲食や観光とはあまり関係ない人がほとんどだ。
そうであるなら、個人の生活を享受して生きている身としては、長野県の経済動向などは他人事というのが一般的かもしれない。
ただ、窮状にある飲食、観光業は、我々が住む生活の場そのものを形作っていることが多い。
住宅が立ち並ぶ中に多くの空き店舗がある風景は、生活の場の質を著しく低下させてしまう。
観光地も生活の場と連なっていることが多い。生活の場に廃墟と化した地域が連なっていたなら、その地域からは人が出て行ってしまう。
コロナ禍でダメージを受けた飲食・観光を回復させることは、この生活の場を守っていくことであることがわかる。
長野県の経済回復のための行動は、誰にとっても他人事ではない。
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