長野県の景気の山は「2018年8月」< 2020・11・19 >

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最終更新日: 2020年11月19日

最新の景気の山は2018 年8月(暫定)

   当研究所では、県内の景気が拡張期にあるのか、後退期にあるのかを把握するため、長野県景気動向指数(NCI、NDI)を作成し、毎月公表しています。全国では内閣府が景気動向指数を作成しており、この指標を基にして今年7月には、12 年12月に始まった拡張局面における全国の景気基準日付(景気の山)を18 年10 月(暫定)と判定しました。当研究所でも長野県景気動向指数を基に景気の山を18年8月(暫定)と判定しました。
つまり2013 年3月から始まった今回の長野県の景気拡張局面は、18年8月を山として後退局面入りしていることになります。長野県の拡張期間は66 カ月となり、02 年から始まったいざなみ景気時の64カ月を上回る長い景気となりましたが、その拡張期間は、全国の71カ月に比べ5カ月短かったことになります。
 これまでの全国の景気循環の動きによると、拡張期間の平均は約36.2カ月、後退期間は16.1 カ月で1循環の平均は52.4 カ月(4年強)となっています。全国と長野県の循環の平均期間を比べると、長野県の拡張期間は、35.2 カ月、後退期間は21.4 カ月で1循環の平均は56.6 カ月となっており、拡張期間は全国に比べ3.1 カ月短い一方、後退期間が3.2 カ月長くなっています。拡張期間が全国よりも短く、後退期間が長いというのがこれまでの長野県の景気の特徴です。今回、新たに設定した長野県の景気の「山」までを含めた拡張期間の平均で比べると、長野県は全国よりも3.3カ月短くなっており、その差はさらに広がったことになります。 

米中対立を受け、生産指数が18年末以降低下

 13年3月から始まった長野県の景気回復は、当初、県内の主要産業である製造業が牽引役でした。08年のリーマン・ショック以降、国内需要が低迷し、円高が進む中、製造業は海外展開を加速させ、増加する海外需要を捉えたことに加え、13年以降円安が進んだことも生産の回復につながりました。その後、15年には中国経済の減速などがあったものの、内需の回復に加え底堅い外需を背景に輸出の増加が続きました。しかし、18年に入り米中両国が世界経済の覇権争いで激しく対立する構造となり、世界経済は不安定さを増していきました。こうした中、長野県鉱工業生産指数で半数を超えるウェイトを占める生産財生産指数が18年秋ごろから減少に転じ始めると、鉱工業生産指数も年末をピークに減少していきました。

企業マインドは先行して低下

 今後を占うために当研究所が県内企業に四半期ごとに実施している「業況アンケート調査」を確認してみましょう。この調査によると、企業の業況判断DI(「良い」割合-「悪い」割合) は、17年10~12月期をピークに低下がみられ、企業マインドは景気の「山」に先行して低下し始めていました。18年に入ると米中貿易摩擦が本格化し、製造業の景況感の悪化が全産業の景況感を大きく押し下げる要因となりました。足もとについては、業況判断DIは20年4-6月を底に改善しています。また、長野県の景気後退の平均期間は、21.4カ月であり、これを今回の景気の山の時期から計算してみると、景気循環上では既に景気の谷を付けても良い頃と読めます。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大から景気は厳しい状況にあり、景気の「谷」はしばらく先になるとみられ、景気循環とは異なる今回の新型コロナが及ぼす影響を今後も注視していく必要があります。

(初出:2020年11月17日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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