コロナと経済の両立はできないものか<2020・07・27>

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最終更新日: 2020年7月27日

 

 世界的に少ない日本のコロナ感染による死者数

   現在、世界での新型コロナウイルスの死者数は60万人を超えている。特に米国は多く、14万人を超えている。

   一方、日本では1,000人程度に収まっており、世界的にも日本の新型コロナウイルスの死者は非常に少ないようだ。

   この理由について現時点では明確なことは分かっていないが、結果を見る限り日本の感染対策は成功しているように見える。

 

感染対策で悪化する長野県経済

   ただ、対策として経済活動を抑制してきたために、企業業績は急激に悪化している。

   当研究所の県内企業に対するアンケート調査によると、今年の売り上げが昨年より減ると回答した企業は約8割に上っている。

   特にホテル・旅館や旅客は厳しく、それぞれ昨年に比べ半分以下に落ち込む見通しだ。

   これらの調査結果を用い、当研究所で長野県の2020年度の経済成長率を計算してみたところ、マイナス7%となった。これはリーマン・ショックの時よりも厳しい落ち込みだ。

 

経済悪化で苦しむ人の増加が危惧される

   日本経済も同様で、国際通貨基金(IMF)が算出した2020年の世界経済成長率予測によると、マイナス5.8%となっている。同予測で、米国の数値はマイナス8%だ。

   先に見た桁違いの死者数との差と比べると、経済の落ち込みの差はさほどではない。

   こうした数字を眺めると、日本はもう少し経済的な打撃を小さくすることはできなかったものかと感じてしまう。

 

   当然に命を脅かす未知の感染症に対して対応策の出し惜しみなどあり得ないが、経済悪化に伴う生活困窮者や自殺者の増加も危惧される。

   経済の失速で廃業したり、職を失ってしまったりした知人を知るだけに、辛い心境が増す。

   新型コロナウイルスは、感染拡大の「第2波」が来ることも予想されている。その際は、今回の経験を生かし、感染防止策と社会経済活動を両立させる方策を模索できないだろうか。

 

 

(初出)読売新聞令和2年7月18日朝刊「しなの草紙」『防疫・経済 両立模索を』に見出し等加筆

  

  

 

  

  

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