新型コロナ対策10万円で個人も地域も元気に<2020・05・08>
新型コロナウイルス対策の一律給付金10万円の申請始まる
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策として、全国民を対象にした一律10万円の特別定額給付金の申請受け付けが始まった。4月27日時点での住民基本台帳を基に、市町村が申請書を世帯に郵送する。その申請書に金融機関の口座番号などを記載し返送すると、世帯分の給付金が口座に振り込まれるという仕組みとなっている。
この給付金により、収入減に苦しむ世帯も一息つける。
生活苦にある家計の補填としても目的だが、配分される額は巨額だ
特別定額給付金で全国に配られる総額は12兆円ほどだ。金額が大きすぎてピンとこないが、地域で捉え直してみると実感が湧いてくる。
一人10万円ということだから、長野県では県民が205.2万人居るから、2,052億円となる。人口が多い長野県内市町村の上位から見るなら、長野市は37万人で370億円、松本市は24万人で240億円、上田市は15万人で150億円。佐久市、飯田市が約10万人だからそれぞれ100億円の支給となる。
町村でも1万人の住民を持つ町村も15ほどあり、それぞれ10億円が支給されることとなる。
とても大きな額が地域に分配されることになる。
県内の大きなイベントの消費額と比べてみるなら
長野県内での大きなイベントがあると、お金がその分だけ余計に使われる。長野経済研究所では都度「経済波及効」を算定してきた。その際に調査した消費額と今回の給付金を比較してみたい。
ご開帳なら800億円だ。これは長野市、松本市、上田市を合計した760億円とだいだい同じ額になる。御柱祭りでは161億円と、奇しくも諏訪6市町村(人口19万3,000人)での193億円と近い。大河ドラマ真田丸では185億円が消費されたが、上田市の支給額は150億円だから周辺自治体と合わせれば同レベルになる。
要するに、今回の給付金を地域で使えば、ご開帳や御柱、大河ドラマの再来のような効果も見込めるということだ。だから、今回の給付金は是非、住んでいる地域で使ってもらいたいと思う。
地域で使ってもらえる仕組みは地域が一体となって
ではどのように地域で使ってもらうのか。
まずは、地域の馴染みのお店や大好きなお店で使うことにより、そのお店が存続できるという当たり前のことに気づいてもらうことが大切だ。街からお店がなくなれば、親戚や知人の働く場もなくなり、彼らが住めなくなり、街の魅力もなくなる。
次にお店側の工夫だが、給付金を使ってもらえる仕組みづくりだ。
現状はあまり人と人が密接に、密集する消費行動はコロナ感染防止の観点から好ましくない。そのため飲食店では、テークアウトやネット受注の仕組みを用意しよう。また、「前売り券」のような形も有効だ。今はコロナで行けないが、安全な時期に行きますからと「前売り券」を活用しよう。
収入減に苦しむ人たちに朗報となる今回の10万円だが、これを地域で使えば、さらに地域のお店の朗報になる。
個店だけでは、できることに限界がある。そのため、市町村や商工会、商工会議所、各企業団体など地域が一体となり仕組みを作り、大いにPRをしていったらどうだろう。
(初出)SBCラジオ「Jのコラム」2020年5月8日放送分
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