24時間営業を考える<2019・04・04>
深夜の買物
遠方の親戚の結婚式を翌日に控えた夜中に、いつも戸棚にあるご祝儀袋が切れていることに気づいた。翌朝は早いため、深夜12時頃近所のコンビニで買った。お蔭で一難を逃れることが出来たが、ふと働いている方のことを考えると複雑な思いに駆られた。
県内消費者は24時間営業廃止に肯定的
長野経済研究所が県内の消費者を対象に実施している「消費動向調査」で、「コンビニの24時間営業の廃止に対する考え」を尋ねたことがある。結果は27.0%が「賛成」、33.0%が「どちらかと言えば賛成」と廃止に肯定的な回答が60%となった。一方、「反対」、「どちらかと言えば反対」という否定的な回答は、合計で17.1%と限定的だ。
便利さの追求も限界か
コンビニは消費者に便利さを提供することで業績を伸ばしてきた。その背景には便利さを求める消費者が多くいた。今回の私もその一人だ。限りなく便利なサービスを追求した結果が24時間営業となったのだろう。
従業員がいくらでも確保できるのなら、こうした方法も続けることは可能だ。ところが時代は変わった。人口減少に伴う人手不足の中、過酷な労働現場に人は集まらなくなっている。さらに「働き方改革」による長期間労働の是正が叫ばれている中、深夜勤務を前提とした経営はリスクが大きい。
消費者であると同時に労働者という視点
一方で、消費者の側としても24時間営業の廃止に肯定的な考えが多いことが、今回のアンケートからも分かってきた。我々は消費者であると同時に、労働者でもある。深夜に買い物をする一方で、日中は顧客からの難題に心身を砕いている。人手不足の中での労働は、ますます厳しさを増し、「深夜にまで働いてもらう必要はあるのだろうか」と感じる人が増えているのだ。企業の自由競争が現在の便利な生活を築いてきたのだが、人としての生活を脅かすような自由については見直すべきだろう。
先ず改めるべきは、直前でないと準備をしない私の生活態度かもしれない。自らを戒め戸棚を閉めた。
(初出)読売新聞長野版「しなの草子」『24時間営業の賛否』(2019.03.30)に加筆
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