地域の元気は凡事徹底から~南佐久郡小海町より~<2018・09・07>

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最終更新日: 2018年9月7日

「君の名は」そして冬季五輪!・・・南佐久郡小海町を訪ねて

   ヒットアニメ映画「君の名は」の新海誠監督の出身地として名を馳せた小海町。先の平昌五輪では、地元小海高校からショートトラックの菊池純礼選手と神長汐音選手を輩出しています。また、菊池純礼選手の姉で金メダリストの菊地彩花選手も、小海町の松原湖高原スケートセンターをホームグラウンドとしています。
  このように最近何かと話題の小海町を訪れ、黒沢弘町長に「元気な町作り」についてお話を伺ってきました

地域の元気は役場から

 黒沢町長は、今年(2018年)の3月に町長に初当選しました。就任にあたり、先ず役場職員の意識改革を宣言しました。「役場が町民の見本になることが、町が元気になる第一歩」と呼びかけます。小さな自治体では、役場が最大の企業であり、雇用の場となっていることが少なくありません。
  そこで、3つの事から始めました。1つが「朝礼」です。これにより職員間のコミュニケーションを活性化させ、町長が自らの考えを伝える場として、職員の行動のベクトルを合わせました。
  2つ目が「体操」。社員の健康があってこその企業であることから、体操を始めとした「健康経営」に取り組む企業が増えていますが、役場も例外ではありません。職員の健康を先ず体操により守り、そして町民の健康を守ろうと活動を始めています。町では町民の高血圧が問題となっています。それに対し、町の髄所に血圧計を設置し、全戸に高血圧対策の方法を印刷したトイレットペーパーを配布するなど、町全体の健康経営に着手しています。
  3つ目が「挨拶」の徹底です。民間の建設会社を長く経営していた黒沢町長は、民間企業で当たり前のことを役場でも徹底しようと考えています。行政の仕事はサービス業だと捉えているため、お客様である町民の満足度を上げる必要があります。企業であれば利益が一番の経営指標になりますが、行政はそれがない代わりに住民の満足度が一番の指標となります。この住民の満足度を高めるための第一歩が「挨拶」という訳です

人口減少への対処「交流人口増加」

 小海町もご多分に漏れず、人口減少に悩まされています。「小海町人口ビジョン」では、2010年の5,180人が放っておくと2040年には2,777人と半分近くになってしまうと推計しています。
  人口を増やすためには、暮らしやすい街であることが必要です。黒沢町長は、オール小海で商業振興に取り組むため、町民も巻き込んだ「まちづくり委員会」を立ち上げ議論を重ねています。また、外部からの移住も進めていく方針ですが、先ずは、町を訪れる交流人口を増加させるため観光資源を磨き上げ、都会からの誘客に力を入れています。4月に開通した中部横断自動車道の八千穂高原インターチェンジは、小海町の入り口にあたります。開通以来、小海町を訪れる人が増えています。これを好機と捉え、国道141号沿いに「バスタ新宿」ならぬ「バスタ小海」を建設して、中部横断自動車道を利用し首都圏と小海町を直結し、東京から一気に小海に人を運ぶ施策も構想しています。
  「朝礼」「体操」「挨拶」で役場を先ず元気にする。さらに、役場内でも町民も「『人の悪口を言わずに、お互いを褒め合う』ことを推奨して、温かい町を作りたい」と黒沢町長は語られます。
  「朝礼」「体操」「挨拶」などの凡事が徹底され、暖かな町民が住まう街には、必ず人が訪れるのではないでしょうか。

 

 

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