人口見通しから予想される問題を考え、対応策を講じよう

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最終更新日: 2018年7月5日

2030 年以降、47都道府県のすべてが人口減少に

    今年の3月、国立社会保障・人口問題研究所が「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」を5年ぶりに公表しました。これは5年ごとに行われる国勢調査をもとに、2045年までの将来人口を都道府県別・市区町村別に推計したものです。
 今回の推計によれば、2030 年以降、47都道府県のすべてで人口が減少する見通しとなっています。長野県の人口は2015年時点で209万人ですが、30年には187万人、45年には161万人にまで減少する見通しです。今の長野市と飯田市を合わせた人口が減ることになります。
 また、全国の市区町村数の変化を人口規模別にみると、2015年から45年にかけて、人口が5 万人以上の市区町村数は535 から421 に減少する一方、人口が5 万人未満の市区町村数は1,147 から1,261 に増加する見通しです。このうち人口が5 千人未満の市区町村数は249から444 へ1.8 倍となり、全市区町村に占める割合は、15年の14.8%から26.4%へと上昇します。
 長野県でも同時期に人口5 万人以上の市町村数は13 から7に減少する一方、人口が5 万人未満の市町村数は64から70に増加する見通しです。このうち人口が5千人未満の市町村数は、29から36へ1.2 倍となり、全市町村に占める割合は、同じく37.7%から46.8%へと上昇します。

3段階で進む人口減少

   今後、我が国の人口減少は3つの段階を経て進むと言われています。「第1段階」は、14歳以下の「年少人口」と15歳から64歳までの「生産年齢人口」が減少し、65歳以上の「老齢人口」は増加する段階です。「第2段階」は、年少人口と生産年齢人口の減少が加速し、老年人口が維持・微減となる段階、そして「第3段階」は年少人口・生産年齢人口に加え、老齢人口も減少する段階です。
 2015年の全国は年少・生産年齢人口が減少し、老齢人口が増加する「第1段階」の状況にあります。その後2040年から45年にかけ第2段階となる見通しです。
一方、長野県は2015年においては第1段階ですが、40年頃に第2段階、45年以降から老齢人口が減少する第3段階に入るとみられます。 

人口規模によって人口減少の段階に差

    全国と長野県の人口減少段階の時期が異なるように、県内の市町村も人口規模によって時期は異なります。人口3万人以上の比較的人口規模の大きな自治体は、2025から40年頃まで年少・生産年齢人口が減少し、老齢人口が維持・微減となる第2段階となる見通しです。一方、3万人未満の自治体の多くは、2020~25年には老齢人口が減少する第3段階に入っていきます。
このように、長野県では2025年頃、人口規模の大きな自治体では高齢者数が増える一方、人口規模の小さい地域では高齢者数までもが減少する本格的な人口減少を迎えることになるのです。
 人口の多い都市部では、増加する高齢者を支えるための労働力人口の確保が問題になります。一方、周辺の小規模な自治体は本格的な人口減少を迎え、これまでの高齢者向けの介護施設などが過剰となるほか、空き家の増加、商店等の閉鎖など社会機能の低下が予想されます。
こうした問題に対応するために、各自治体は、それぞれの人口見通しをしっかりと把握し、対策を講じていくことが求められます

(初出:2018年7月4日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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