地域の健康作りは、トップの方針提示と住民の意識改革から<2018・06・06>

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最終更新日: 2018年6月6日

2020年までの介護保険料、多くの自治体で値上げの中・・・

   2018年5月、全国自治体の2020年までの介護保険料が厚生労働省から公表されました。これは3年に一度見直しがされていますが、高齢化に伴う要介護認定者の増加から引き上げが目立ちます。
 こうした中、北佐久郡の御代田町では、現行から10.7%も引き下げ4,610円としたことが注目をされています。これは4,600円の信濃町に次ぎ、県内で2番目に低い水準です。
 御代田町では、なぜこのような事ができたのでしょうか。秘訣を探るために、御代田町茂木祐司町長に話を伺ってきました

12年前には最低だった御代田町がトップレベルになるまで

 茂木町長は就任して12年となります。就任した当時の御代田町は、介護保険料は県内自治体の中で2番目に高く、国民健康保険税は県内市町村で最も高い水準でした。そのため町長の政策方針として、「健康で安心して暮らせる町づくり」を掲げました。
 介護の予防活動を推進するためには、官民が一体となった草の根的な予防活動が必要になります。町では、生活・介護支援サポーター育成講座を開講し、町民参加の仕組みを作りました。そこから介護予防活動の担い手としての「はつらつサポーター」という組織が誕生しています。この組織は、2016年7月にNPO法人化し、今年で8年目、70人程が活動しています。はつらつサポーターの皆さんは、五木ひろしさんの「千曲川」や「サザエさん」の歌に合わせたオリジナルの健康体操を考案するなど、介護予防を楽しい活動とするよう知恵を絞っています。
 そして、これを行っている場所が「世代間交流センター」です。厚労省の補助金を活用し、町内9地区にバリアフリー施設として設置したものです。これらの施設で、「はつらつサポーター」の指導のもと、要支援の人や町が実施したチェックリストで機能低下が認められた人を対象に「はつらつ介護予防教室」を毎月1回、2時間のペースで行い、成果を挙げています。
 もう1つの、健康保険料の引き下げでは、町民に対する健康増進の取り組みが功を奏しました。
 町では、まず、保健師と管理栄養士の正規職員を2倍に増やしました。併せて、病気が重症化した町民や高額医療費の原因を分析しました。その結果、生活習慣病が引き金になっていること。また、定期的に健康診断を受けていないために病気が重症化してしまう実態が分かりました。
 その対策を保健師、栄養管理師が先導し、生活習慣病の対策としてポール・ウォーキングなどで体を動かすことや、食生活の改善、健診受診率の向上などの事業を進めました。ポール購入者に対し、全国に先駆けて補助を出すことに取り組んだことも事業を加速させました。

成果がでる秘訣はトップの方針提示と住民の連携、意識改革

 これらの成果が出た秘訣として茂木町長は、「住民の健康に対する意識が向上したこと」と語られています。全国各地で多く聞かれる健康増進の壁はこの「住民の健康への意識改革」の部分にあります。
 御代田町ではその壁を、トップの揺るがぬ方針と、住民が参加できる仕組み作りで打ち壊すことが出来たものと思われます。
 地域の健康作りには、トップダウンとボトムアップの連携が欠かせないでしょう
 

 

 

 

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