平昌(ピョンチャン)オリンピックに見る結果を出す極意<2018・03・06>

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最終更新日: 2018年3月6日

平昌(ピョンチャン)オリンピックでは、長野オリンピックを上回る13個のメダル

   長野冬季五輪から20年目の今年、韓国平昌での冬季五輪が2月25日に幕を下しました。
 日本の成績は、長野五輪のメダル10個を大幅に上回る13個と大躍進を果たしました。長野県選手の活躍も素晴らしいものでした。選手団の主将を務めたスピードスケートの小平奈緒選手の500m金メダル、1,000m銀メダルを筆頭に、高木奈那選手のマススタート金メダル、菊地彩花選手と共に勝ち取ったパシュート団体金メダル、渡部暁斗選手の複合個人ノーマルヒルの銀メダルと、県勢のメダルラッシュにテレビに釘付けとなった皆さんも多かったのではないでしょうか。

多くのメダリストに共通した言葉「楽しむ」

 多くのメダリストの受賞後のインタビューで、好きで「楽しむ」という言葉が多く聞かれました。
 小平奈緒選手は、普段から「世界で私が一番スケートが好きなんだ」と言い切っています。そして、金メダル獲得後には「金メダルを獲得することや良い記録を出すことが、究極の滑りを意味するわけではない。自分の中に感じる言葉では表現できない『楽しさ』がある」と語っています。高木菜那選手も、金メダルを獲得したパシュートの試合後に『楽しむことが出来た』と語っており、「マススタート」についても「頭を使うし、見ていて面白い。『楽しい』種目だと思う」と自身が感じる競技への思いを述べています。そして、2大会連続で銀メダルを獲得した渡部暁斗選手も、競技後には「楽しかった」と充実感を口にしています。
  五輪に至る道程は常人には理解が及ばないほど辛いものかと思いますが、「楽しむ」という境地に至ることで結果につながったのだと思います。

経営学者P・Fドラッカーは「仕事が出来る人は仕事を楽しむ」と教える

 仕事にも同じ側面があります。
   経営学者のP・Fドラッカーは著書「365日の金言より」の「6月26日」付けで「仕事ができる人は仕事を楽しむ」と書いています。「仕事ができる人は、仕事を楽しむ。すべてが面白いわけではない。決まりきったこともしなければならない。決まりきったことは山ほどある。ピアニストの巨匠は毎日3時間以上弾く。(中略)あるピアニストは指に命が宿るまでといった。決まりきったことでも楽しむことはできる。仕事を楽しむ人にも同じことが言える。彼らにも同じように決まりきったことがある。しなければならない仕事がある。しかし、仕事は楽しい」。
  「論語」でも「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」と説いています。つまり「ただ知っているだけの人はそれを好きな人には勝てない。かといって好きというだけの人はそれを楽しんでいる人には到底勝てない」ということになります。

大変だからこそ仕事なのか?

 何事も嫌々やっているより、楽しくやっていることで成果が上がるのは当然です。しかし、仕事では「楽しい?遊んでるんじゃないぞ」、「大変だからこそ仕事だ」という考え方が大層でしょう。
 しかし、ドラッカーの言うように「楽しく、根気よく続ける」ことで、仕事も楽しくなり、それ故に成果が出るのではないでしょうか。
 目の前の仕事に対し、それが決まりきった繰り返しのような仕事であっても、自分で目標を持って没頭するとちょっぴり上手になります。また、達成感を得ることができます。さらにやる。しつこくやる。すると同僚より多少上達していきます。そうすると何故か「楽しく」なってくるものです。

結果を出す極意は「楽しくなるまで続けること」

 クロフネカンパニーという会社を経営され、全国で多くの講演もこなされる中村文昭さんという方がいます。型破りな師匠の元での体験を熱く語る講演には、心を打たれます。その講演の中で、ホテルのアルバイトをしている時代の話があります。「皿洗い」ばかりの日々に半分腐りかけていたそうです。そんな彼に師匠は「甘い。」「そんな取り組みをしているお前には、どこに行っても居場所はない」。「真剣にやっているのか。日本一の皿洗いになる気でやっているのか」と問いかけます。この言葉に衝撃を受けた中村さんは「日本一を目指し、稲妻のような皿洗いをします」と宣言し、時計を睨みつけ、誰よりも短時間で綺麗に仕上げる「皿洗い」を始めます。「皿洗いは楽しい」そんな気持ちが芽生えます。当然、こんな「皿洗い」をする人は誰もいません。責任者の目に留まり、新たなチャンスが巡ってくるのです。
 ベテランでも同様です。慣れた仕事でも「指に命が宿るまで」続けることで、さらに楽しさは増していきます。新たな成果にもつながることでしょう。人の思考や仕事はそのようにできているようです。
 人生の大半の時間を過ごす仕事が楽しくなければ、人生そのものが面白みに欠ける空虚なものになってしまうようにも思います。
 そして、なによりも「論語」が教えているように、楽しんでいる人には何人も勝てないのではないでしょうか。
 

 

 

 

 

 

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