民法改正で変わる法定利率

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最終更新日: 2017年12月15日

利率は引き下げ、変動制へ

 法定利率とは、利息が当事者間の合意により発生する場合に、利率が合意によって定められていない場合や、法律の規定により利息が発生する場合に適用される利率のことです。金銭の貸借で利息が発生することのみ合意し,その利率を定めていなかった場合や代金支払の債務不履行などに伴う遅延損害金についてその利率を定めていない場合などに適用されます。

 法定利率の変更点は主に2つです。一つ目は、現行の年5%から改正法施行時には年3%に引き下げられること、二つ目は、固定制から3年に一度見直しを行う変動制にすることです。変更の背景には、現行の法定利率と市場金利との乖離が著しかったことや、改正法施行後の市場金利との乖離発生を防止することがあります。

 さらに、現行の商法514条では、商行為によって生じた債権の法定利率は年6%と定められていますが、民法改正によりこの条文は削除され、施行後は一律改正法が適用されます。

大切な約定利率、遅延損害金利率の定め

  実務上は、契約書で約定利率、遅延損害金利率を定めていることが一般的ですが、簡単な契約書で済ませたり、注文書と注文請書だけで取引するなどで、約定利率、遅延損害金利率の定めがない場合もあります。

  このとき、改正法施行後に遅延損害金が発生すると、その利率は5%から3%へ引き下げられるため、これより高い遅延損害金利率を定めてある債務の履行が優先される可能性がより高まることが考えられます。

 また、変動制になることに伴い、同一取引先や同一取引内容であっても債権の発生時期によって適用される法定利率が異なってくることも考えられます。こうしたことを避けるためにも、契約書で約定利率や遅延損害金利率をきちんと定めておくことが大切になります。

明文化された中間利息控除

 中間利息控除については、これまで、判例上、民法で定められた法定利率を用いるべきとされていましたが、改正民法では、これが明文化されました。

 中間利息控除とは、例えば、交通事故や労災事故などで請求する損害賠償額の算定にあたり、将来取得すべき利益が現実には賠償としてそれより前に支払われるため、その利益を取得すべき時までの利息相当額(中間利息)を控除するというものです。

 なお、法定利率の適用の基準時は、利息や遅延損害金などが生じた最初の時点とされ、仮にその後、法定利率が変動したとしても、適用された法定利率が変わることはありません。

 詳しい内容については経済月報2017年12月号の相談コーナーで紹介しています。是非ご覧ください。

 

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