地域の魅力を見極め、磨き、伝え、ブランドに育てる<2016.12.06>
現在、本格的な人口減少高齢化社会に入り、長野県を支えてきた製造業もグローバル化の激しい動きに翻弄されている状況です。そうした中、もう一つの柱として観光業の産業としての振興が期待されています。観光は多くの人が行き交います。人の行き交いでお金が循環し、経済社会が活性化します。来ていただくことで、長野県を気に入ってもらいファンが増え、県外から長野県へ移住する人も増えるかもしれません。
こうした問題意識から、11月17日に信州ブランドフォーラムの中でパネルディスカッション「地域の魅力を見極め、磨き、伝え、ブランドに育てる」が行われ、私もコーディネーターとして参加しましたので、その概要と感じ入った点をお知らせします。
参加者は阿智昼神観光局の白澤裕次社長、じゃらんリサーチセンター客員研究員の加藤史子さん、長野県ブランド推進室の塩川吉郎室長の皆さんです。
基調講演では阿智昼神観光局の白澤社長から、「日本一の星空で地域ブランドに煌めきを~阿智村の挑戦~」と題したお話がありました。白澤社長は、「観光を中心とした地域の産業振興を目的に、地域の宝を探し、それが星空であることに行きついた。阿智村では2006年『星空が最も輝いて見える場所』の全国1位として環境省から認定された。また、インターネットの全国アンケートでも星空が支持を集めてもいた」と星空の魅力を見極めたきっかけを語られました。そして「2012年にヘブンスそのはらスキー場を舞台に『天空の楽園・日本一の星空ナイトツアー』がスタート。社員が宇宙服を着てお客様を迎えたり、プロジェクションマッピングなどで演出を凝らし、単なる星空観測ではないエンタテインメントの空間を作り出し、これらを大手旅行会社とコラボレーションを組んで商品化し、2012年に約6千人だった観光客を2015年には10倍の6万2,000人とした。結果、宿泊客は36,000人となり地元の昼神温泉が賑わうことになった。農業、製造業、商業など他の産業も潤い雇用増加にも繋がっている」星空という地域資源の磨き方、伝え方、波及効果などを説明されました。
続くパネルディスカッションでは、阿智村の星空のように、地元の魅力を見つけ、磨き、発信するためにはどのようにしたらよいのかを議論しました。加藤さんからは「とにかく外部に情報発信をすること、伝えることが必要だ」と提言がなされました。「情報発信するものを選ぶのは、簡単なマーケティング調査で十分。先ず地域住民が知っていて、興味がある地域資源を見極め、それに対して、外部で『関心が高い』とされたものを幾つか選び出し、発信する」魅力的な地域資源について情報発信することの重要性を語られました。
これを受けて白澤さんからも「国の補助金や支援金などすべてを情報発信、伝えることに徹底して使った」「そしてお客様の反応を見ながら、次の手を打った」と伝える事に加え実行すること、動くことの重要性が述べられました。
塩川さんからは、「阿智村の星空のような地域ブランドの可能性は県内にも沢山あり、それらを県が束ね相乗効果を出したい」と県が信州ブランドの旗印の元、市町村のブランドを支援し、相乗効果を出していく方向性を語っていただきました。
地域を魅力的な観光地とするためには、先ず、地域の中から尖った「その地域らしく、地域ならではの資源」を掘り起こす。掘り起こしたのなら、それを先ず情報発信。その結果のお客様の反応から第2、第3の矢を放つ。即ち行動を起こすこと。その中で成功するものがでてきたのなら、旅館、ホテル、農業、企業、行政、住民の皆さんが関わることで、様々な効果を生み地域活性化に繋がっていく。このような地域ブランドを育て上げる上でのヒントをいただいた講演・パネルディスカッションでした。
長野県では、来年2017年は7月1日から9月30日まで、「信州ディスティネーションキャンペーン」が行われます。長野県の魅力をしっかりと伝え、多くの方に来ていただき、一人でも多くの長野県ファンを作り、長野ブランドを育て上げていきましょう。
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