「ものづくり大賞NAGANO」~ものづくりに若者の力を~<2015.11.18>
先月「ものづくりNAGANO応援懇話会」主催の「ものづくり大賞NAGANO」が開催され、大賞3社とグランプリ1社が決まりました。大賞は、野村ユニソン株式会社(茅野市)、株式会社カウベルエンジニアリング(佐久市)、セラテックジャパン株式会社(長野市)の3社。そして、野村ユニソン株式会社がグランプリに輝きました。
賞は今回で6回目となりますが、主催の「ものづくりNAGANO応援懇話会」は、長野県始め県内の産学官の関係者からなり、当研究所もそのメンバーとなっています。
長野県製造業が国のGDPに相当する県内総生産に占める割合は、2割強と最も大きいものです。そして国内はもとより、世界的なシェアを持つ企業も少なくありません。しかし、その実力とは裏腹に、一般の認知度はそれほど高いものではありません。県内では部品加工を手掛ける企業が多いことから、一般家庭で知る機会は限られます。そのため県内の学生もこれらの優れた企業を知らずして、他県に就職してしまうという残念な例も少なくありません。こうした学生のみならず広く県内製造業を知ってもらい、認知度を高め、さらに発展してもらうことで長野県経済全体を強くしていこうというのが賞の設立目的です。
この賞は、長野県経済を豊かにしようというのが大目的ですから、選考にあたっては特に、地域貢献や地域連携などが重視されます。そしてそれぞれの企業の持つ商品力や技術力、市場性や発展性などを総合的に勘案しています。
グランプリの野村ユニソン(株)は、創業以来、アルミダイカストや鍛造を主に手掛け、この分野での低コスト工法を開発しています。また、地元企業や大学との多くの連携で、新たな分野を切り開いてきました。現在では、FA専用装置の設計・製造から、ロボット、環境、医療分野まで幅広く手掛けています。
(株)カウベルエンジニアリングは、ICカード読み取り機やカード認証・通信制御機器を中心に、電子機器の開発・設計から製造まで一貫対応しています。こちらも地元佐久市での企業ネットワークの中核的企業です。近年では、IoT(Internet of Things)や介護福祉分野にも参入するなど新たな事業展開を進めています。
セラテックジャパン(株)は、電子・光学材料の高精度加工に特化し、セラミックなどの硬くて脆い材料の平面加工を強みとしています。切断から研磨、薄膜加工までの一貫加工サービスで多様なニーズに応え、全国に取引先を広げています。地元での産学連携や、地域貢献活動にも積極的です。
政府は今年度を「地方創生元年」と位置づけ、「総合戦略」の基本目標の筆頭に「地方における安定した雇用の創出」を掲げています。そして雇用のための大きな柱として期待されているのが製造業です。
長野県製造業に県内の若者がUターンして就職する。また、外部からも優秀な人材に来ていただく。このような機運醸成と県内企業の情報発信に「ものづくり大賞NAGANO」が貢献できるよう、力を尽くしていきたいと思います。
(初出)平成27年11月18日朝日新聞朝刊「けいざい応援通信」『ものづくり信州 実力PR』
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