銀座発、長野ファンづくり<2015.03.04>
昨年10月に東京・銀座に開業した「銀座NAGANO」が元気です。1月末までに、1日平均で約3千人が訪れ、昨年末に実施された銀座ディスプレーコンテストでは、銀座通連合会特別奨励賞を受賞しています。
ここは長野県のファンを増やすことを目的に、県が首都圏の総合活動拠点として銀座すずらん通りに開設したものです。さっそく銀座に赴き、県観光部の職員でもある熊谷晃所長を訪ねました。
1階のショップには、県内のおよそ300事業者からの約1千アイテムの商品が並べられています。長野県でも、これだけの県産品が一堂に会しているのを目にすることはありません。店内には女性客が多く、商品の説明をじっくり聞いたあと、商品を買っていきます。また、入り口近くのバーカウンターでワインを試飲しながら、気に入ったワインを購入していく場面も多く見られました。
「自分のライフスタイルを高めることに関心のある方がここには多くみえます。それは、自分好みの美味(おい)しいものを食べることだったり、健康的なライフスタイルを身につけることだったりします」と熊谷所長は言います。「目的を持って来られるお客様が多いため、連休明けの雨の日でも来店客はそれほど減りません」
ここが人と人との交流の場であり、長野県の健康的なライフスタイルを発信する場であるという説明を熊谷所長から受けながら、2階のイベントスペースを案内してもらいました。ここではほぼ毎日、県や市町村などによる様々な交流イベントが企画されています。
実はこのスペースこそが銀座NAGANOの中核的存在で、ここで発信された情報が1階での物販につながることも多いそうです。例えば、木曽のすんき漬けの漬け方を習った参加者は、乳酸菌と健康の関係を学び、関連の産品を買っていくようです。
そして、これらのお客様に2度3度と足を運ぶファンとなってもらい、長野県への移住まで考えてもらいたい。このような「つながりの深化」を実現するために、4階には移住相談センターがあります。ここへの移住相談は、移住・交流センターの名称で有楽町にあった昨年の同時期に比べ1・4倍に増えており、移住の裾野も広がっているようです。
銀座という場の力や、イベントや食を通じて「総合的に情報発信すること」の効果の大きさがうかがえます。
商品だけを売っても、長野ファンにはなっていただけないでしょう。商品やイベントを通じて、例えば「健康的なライフスタイルを身につけた」という経験づくりこそが重要です。銀座NAGANOから発信される「経験」が、多くの長野ファンを生み出すことを期待したいと思います。
(初出)平成27年3月4日朝日新聞朝刊「けいざい応援通信」
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