2015年展望~回復基調で挑戦の年に~<2015.01.07>

 新年あけましておめでとうございます。
 今年も地域経済の応援団として、元気に頑張りたいと思います。
 さて、今年はどのような年になるのでしょうか。昨年の経済を振り返りながら、考えてみたいと思います。
 一昨年からの円安を背景に回復してきた景気は、昨年、消費増税の影響でブレーキがかかりました。増税前の駆け込み需要の反動と、なによりも増税による価格上昇に賃金が追いついていかなかったことによります。これを受け、政府ではさらなる増税による景気の失速を恐れ、今年10月に実施予定だった10%への消費税引き上げを1年半先送りにしました。
 増税が先送りされたことにより、今年の景気は再浮上しやすくなったと言えましょう。もちろん、長期的には消費増税は避けて通れませんが、短期的には増税がなければその分景気にはプラスにはたらきます。そして、世界経済も緩やかな回復が予想され、さらに原油価格の低下も当面続く見通しです。そうした好条件を受け、企業の設備投資の増加や、賃金の上昇による個人消費の持ち直しが期待できます。
 海外経済の変調というリスクは常にありますが、総じて今年の日本経済は再び回復に転ずることが予想されるでしょう。
 一方、長野県経済では、円安のメリットは一部に偏っており、逆にコストの増加から業績悪化を訴える企業も少なくありません。円安を起点とした今回の景気回復は、長野県など地方への直接的な波及は限定的となっています。それゆえに回復の水準は低いままですが、円高が進行した一時期に比べると、回復基調にあることは間違いありません。言うなれば、今年の長野県経済は、まだら模様ながらも回復の途をたどるということになります。
 このように引き続き、円安の進展に伴う好不調の二極化は進みますが、今年の長野県には、善光寺御開帳と北陸新幹線延伸という好材料があります。
 前回の御開帳は、リーマン・ショック後の2009年でしたが、673万人の参拝者が訪れ、長野県経済を0・57%押し上げてくれました。その前は03年、イラク戦争が勃発し、中国で新型肺炎SARSの問題が深刻化した年です。
 このように逆風にある経済を救済するようなタイミングで都度、御開帳は開催されてきましたが、今年は北陸新幹線延伸という強い味方が加わります。阿弥陀如来様は、新たに北陸からも景気回復のためのお客様を運んでくれることでしょう。
 ただし、阿弥陀如来様頼みでは、文字通りの他力本願です。私たち一人ひとりが回復基調にある2015年を自らのチャンスととらえ、10年後、20年後を見据えた挑戦の年としなくてはならないでしょう。


(初出)平成27年1月7日朝日新聞朝刊「けいざい応援通信」

関連リンク

このページに関するお問い合わせ

産業調査

電話番号:026-224-0501

FAX番号:026-224-6233