今こそ地域づくりに精を出そう(2010.11.12)

グローバル化の中で閉塞感がつのる地域だが

 急激なグローバル化の波の中で地域は産業の空洞化など閉塞感がつのっており、浮き足立った感じが強い。こうした時こそ、自分達が生活をするフィールドにどっしりと立ち、地域づくりに想いを馳せる時ではないだろうか。
 実は、そのような問題意識から現在、当研究所の機関誌「経済月報」の『わが町・わが村を語る』と題した記事で、独自のチエと工夫を以って地域づくりに奔走している県内の町村長にポリシーや政策などを語ってもらっている。
 連載第1回に根羽村の小木曽亮弌村長さんにご登場いただいたが、今般、根羽村の第三セクター「ネバーランド」が平成21年度の国交省の「地域づくり表彰」で「全国地域づくり推進協議会会長賞」を受賞された。この根羽村の「地域づくり」についてご紹介したい。

林業と交流拠点「ネバーランド」による村づくり

 根羽村は、長野県最南端にある人口約1,200人の村で、近年国内林業が壊滅的な状況にある中でも、林業を産業として維持することに成功している稀有な村だ。
 この林業と並んでもう1つの村おこしの柱として立ち上げた拠点が、表彰された「ネバーランド」。 行政主導ではダメだというのが根羽村の考え方で、平成5年に50人の村の若者が集まって「40歳以下の村づくり支援機構」というのを作り、第三セクターのネバーランドが設立された。
 ネバーランドの形態は道の駅のようになっており、徹底して村で取れたもの、作ったものを売っている。地元酪農家で搾乳した生乳や加工したヨーグルト、清水を使った豆腐やそば・うどんの製造販売。有害鳥獣駆除で捕獲した鹿の肉の加工販売やそれを提供するレストランの運営などである。
「商品の原材料は全て根羽村産で、根羽村にあるものなら石ころ一つであっても村おこしの資源。
その資源をどう磨き上げるかが重要だ!」と小木曽村長さんは語る。
 根羽村では林業やネバーランドで働く従業員の採用を全国規模で行っており、多くの応募がある。現在、村民の1割がIターンによるもので、林業とネバーランドが雇用の立派な受け皿となっている。さらに、根羽村を源流域とする矢作川の下流域にある愛知県安城市とは、水が取り持つ縁で古くから交流があり、その交流をさらに密にしたのがネバーランドという訳だ。根羽村の祭りに子供達が来たときにはネバーランドで製造したものを試食してもらったり、逆にネバーランドで作ったヨーグルトを安城市の学校給食に出したり、名古屋グランパスのサッカーの試合会場で販売させてもらったりしている。
 少子高齢化にある根羽村ではあるが、このような交流により非常に活気のある村となっており、今回の受賞は、こうした交流の中心的な役割をネバーランドが果たしているということが評価されたものである。

村にあるもの全てが地域資源

「地域にあるものなら何でも、石ころ一つであっても村おこしの資源」と捉え、それを磨き上げ、売っていくことで、地域おこしは可能になるというのが根羽村の今回の受賞が教える所だ。
 グローバル化が進めば進むほど、実は地域の個性が際立つというのが真実だろう。それを磨き売ることで、地域の産業ができ、雇用が生まれ、人が来る。この仕組みをいかに作っていけるのか。グローバル化の波が押し寄せる地域は問われている。

(2010.11.12)

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