2010年を迎え、高付加価値産業への転換を目指して(2010.01.21)

今年もそれ程楽な年ではない 

 今年も、引き続き厳しい年となることを覚悟する必要がある。輸出は新興国を中心に増加基調をたどることが予想される。しかし、増加すると言っても新興国頼みでは、水準は2008年のピーク時の7~8割程度が天井だ。そのため過剰設備に大きな変化はなく、設備投資が急に増加していく期待は薄い。雇用にしても過剰感が高止まりする中、新年に入って目に見えた雇用者数の拡大を期待することは難しい。このような供給過剰、需要不足の状況下ではデフレから脱却する糸口はなかなか見出せない。
 そうした中、新政権の経済対策に期待したいところだが、個人消費を喚起するための主な財源が公共事業費の充当であることを考えると、景気押し上げ効果は限定的だろう。。

長野県経済は・・・ 

 こうした厳しい環境下で、大手企業が下請企業を選別する動きを強めており、生産が増える企業と減る企業の二極化が進んでいる。そのため、製造業に依存する割合が高い長野県では、回復の足どりは鈍いものとならざるを得ない。県内の雇用についても慎重な対応となることが予想され、所得も低迷を脱し得ない。その結果、住宅投資も厳しい状況が続くこととなろう。
 一方、今年は県によるデスティネーションキャンペーン(JRとタイアップした大型観光キャンペーン)や、諏訪の御柱祭などがある。「景気は気から」と言われるが、多くの人々に長野県を訪れていただき、沈み込んだマインドが上向く契機になればと願いたい。観光客の増加を通じた個人消費の増加を期待したい。

長野県産業の今年の課題

 長野県はここ十数年来、県内総生産が減少傾向にある。これは主に儲けられない産業が増えていることを意味している。つまり、今年の課題は、2010年代の初頭として、如何に付加価値の高い産業に転換していけるのか、ということだろう。
 長野県は主要産業の製造業の多くがいまだ賃加工的な構造に甘んじており、観光業にしても、長期滞在型で単価の高い観光客を全国から確保することに成功していない。だから、県民所得も低いまま地域の商業も万年不況、という悪循環を抜け出すことができない。

どうしたらいいのか

 具体的には、一つに、新たな市場である新興国に対応できる部材・製品の開発のほか、新興国のものづくりを凌駕するハイテク部材を大手取引先に提案ができる「パートナー企業」となることや、長野県の地域資源を生かした「NAGANOブランド」の創造。二つに、この「NAGANOブランド」を核とした国内およびアジアなどからの富裕層の誘客、つまり高付加価値型観光業の創造などが考えられる。
 製造業と観光業を両輪に「良いものを高く売る」という経営技術を向上させ、県民所得を上げていくことが必要だ。このための準備期間が今年なのだと思う。実際に、生産減の中、技術力向上に向けた人材育成を進める県内企業も少なくない。
 不況の今こそ技術と人材を磨く百年に一度の好機だ。私共も地域や企業のご支援に、さらに努力したい。
(2010.01.21) 

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