新入社員に求められるコミュニケーション能力(2009.04.15)

企業が新入社員に求めるものは 

 企業が新卒者に求めるものについては、経団連が毎年日本経済団体連合会企業会員を対象に「新卒者採用に関するアンケート調査」を実施しており、「企業が採用時に重視する能力」について聞いています。
 これによるとここ数年間の連続第1位は「コミュニケーション能力」となっています。以下は「協調性」、「主体性」、「チャレンジ精神」、「誠実性」などです。「コミュニケーション能力」が兎にも角にも大切だということを示しています。
 確かに通常我々もコミュニケーション能力は大切だなどと良く言いますが、企業がコミュニケーション能力という場合一体どのようなものを望んでいるのでしょうか。少し詳しく考えてみましょう。

 コミュニケーション能力とは多くの仕事の要

 パナソニックの創業者松下幸之助氏は不況を克服するための一つとして、「打てば響く組織づくりを進めること」が大切だといっています。それは、風通しのよい組織にすれば、良い情報、悪い情報が社員からどんどん上がってきて、外部環境の変化に敏感に対応することができるということを意味しています。
 同時に、外部に対しては、お客さんが何に困っているのかをしっかりと把握し、常に相談や要望が舞い込む状況を作り、全社員が一枚岩となりその解決に取り組むということだと考えられます。
 つまり、不況期に限らず企業にとって存続・発展のために重要なことは、社の内外を問わず「コミュニケーション」を活発化することにより、社内の一体感を強め、顧客との距離を縮めること、ということになります。

コミュニケーション能力の高さが好業績をもたらす

 このようにコミュニケーションは企業発展に不可欠なものであるということは、直感的にわかってもらえたと思いますが、実はコニュニケーション能力に優れる企業は業績も非常に良いことが我々の調査からも明らかになっています。
 当研究所では、昨年、一定の市場で大きなシェアを占めている企業を探るため、長野県内製造業およそ4,000社にアンケートを実施しました。結果479社から回答があり、内131社がなんらかの分野で高いシェアを持っていることが分かりました。
 その131社の特徴として、5年前と比較した場合、約7割の企業が売上高を増加させており、約6割の企業が経常利益を改善させていることが分かりました。
 この好業績を生み出すきっかけ、つまり一定の市場で高いシェアを取ることになった契機を聞くと、最も多くの回答が「お客さんからの相談・要望」となっています。
 つまり、困った時にお客さんから相談を持ち込んでもらえるような日頃のコミュニケーションや、お客さんの相談・要望をしっかりと受け止めて、ニーズに対応できるというコミュニケーション能力の高さこそが、高シェア製品・部品を生み出すために極めて重要であることがわかります。
 是非、新入社員のみなさんには、このように「打てば響く組織」の最も大きく鳴り響く鐘になれるよう、元気なスタートを切って欲しいと思います。
 何事もスタートが肝心です。

(2009.04.15) 

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