人口減少時代の地域振興「二地域居住」(2008.09.16)

蓼科地域が国土交通省の二地域居住のモデル地域として選出 

 二地域居住とは、2005年に国土交通省で提唱されたもので、都会に暮らす人が、週末や夏休みなど一定の期間を農村などで暮らすライフスタイルのひとつです。各地域で過疎が問題とされる今日、移動人口を増加させる二地域居住は有効な打開策として注目されています。
 こうした中、7月国土交通省は二地域居住を促進するためのモデル事業を行うため、先進的で良好な取り組みを行っている地域を全国から4ヶ所選定しました。そのうちの一つとして長野県蓼科地域が選ばれています。蓼科では、オーナーが利用しない間その別荘を借り受けて、利用したい人に貸し付け、長期滞在に利用してもらったり、その間に地域活動へ参加するプログラムを提供するなどの居住サービスを提供しています。
 他の選定地域は、お隣山梨県、福島県、そして北海道などとなっています。 

人口減少社会の新たなシステム

 今や47都道府県のうち35都道府県の人口が減っており、全国の市町村の約3分の1が過疎であるという状況があります。そのため、地方の自治体は何とか人を増やせないかという課題に迫られています。IターンやUターンなどの定住促進はもちろん、多くの人に来てもらう観光などにも力を入れており、二地域居住などに取り組む自治体も増えています。
 この背景の根本には、日本が人口減少社会に突入しているといった点が挙げられます。
日本は2005年をピークに遂に人口が減少する社会となりました。40年後の2050年には現在の約1億3,000万人の人口は1億人を割り込むことが予測されています。つまり、約3,000万人という人が減少してしまうのです。長野県の場合は、現在の220万県民が20年後には200万人になってしまうと予測されています。そのため、過疎は単なる人口の偏りばかりでなく、人口の絶対数が減少した結果起こっているものと考えられます。人口が減少していく中では、移動する人口を増やすしかありません。そうした意味から二地域居住は人口減少社会を活性化するための新しい社会のシステムとも考えられます。

10年後の市場規模は1.5兆円 

 ここ数年二地域居住へのニーズは高まっています。最近、郊外にマイホームを持っていた団塊の世代を中心に、都心への回帰が起きており、その反動として、豊かな自然への郷愁から田舎に拠点を持ちたいという願望も芽生えてきています。こうした願望が二地域居住を望む形になっているのです。
 国土交通省の調査によると、10年後の二地域居住を行っているであろう世帯は200万世帯と予測され、市場規模も1.5兆円に上ると推計されます。大変な潜在需要があることがわかります。
 長野県は松本市の四賀地域が国内のクラインガルテン導入の嚆矢ともなっており、さらに首都圏から近いこともあり、二地域居住の受け皿としてのポテンシャルは大きいものと考えられます。

(2008.09.16) 

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