暑い夏こそ信州の森へいらっしゃい~森林の効用~(2008.07.22)

暑い夏こそ森へ山へ 

 全く暑い日が続きます。こんな暑い時こそ、長野県人なら長野県の最大の資産「森林」を思い出して欲しいものです。森林は太陽光線を遮断し、葉から水分を吐き出す蒸散作用によって日中では森林の外より2~3℃低い冷気を保っています。そして、こうした森林内の冷気が、周辺部の温度も下げています。
 森林の効果はこの冷却作用に留まりません。疲れ切った体や心を癒す効果など、森林には最近のストレス社会に悩む都会のサラリーマンなどに、避暑以上の効果も提供できます。 

長野県8ヵ所の「森林セラピー基地・ロード」

 ストレスは多くの病気の原因になります。そんな中、最近、森林のストレス予防効果を活用した「森林セラピー」などの取り組みが県内観光地のひとつのうねりとなっています。森林セラピーとは、森林の癒し効果を利用し、健康の増進や、病気の予防・治療・リハビリを行うものです。なぜそうした効果が期待できるのかと言いますと、森林の中にいますと、一つにストレスホルモンの濃度が低下し、ストレス状態から解消されます。二つに都会にいる時に比べ副交感神経活動が活発になり、リラックスできるからです。
 国の取り組みとしても林野庁で、数年前から全国の適所を選定し、森林セラピーを基地やロードと銘打って推進しています。長野県でも8市町村が森林セラピーの基地やロードとして指定を受けています。飯山市、小谷村、木島平村、山ノ内町、信濃町、佐久市、南箕輪村、上松町などの地域です。

森林セラピーは巨大な観光産業 

 ドイツでは森林セラピーが既に医療行為として認められています。これはクナイプ療法と呼ばれていますが、保養効果があり医療機関との連携で健康増進に大きな効果を上げています。医療の専門家の診断を受けながら、森林を散策し、栄養バランスのとれた食事をし、心身ともにリラックスし、明日の英気を養うことができるようなメニューです。
 クナイプ療法発祥の地、現在のバード・ウェーリスホーフェン市では人口は15,000人程度なのですが、なんと年間延べ約100万人が保養に訪れているという大変な観光産業ともなっているのです。

長野県森林の大きな可能性 

 このようなことを見てきますと、長野県こそ森林を十二分に活用した、観光というものに力をいれるべきだと思います。
 というのも、G8主要先進国の中で日本は頭抜けて森林資源に恵まれています。国土に占める森林面積の割合を見ると、日本は68%とダントツ。ロシア48%、アメリカ36%、イタリア・カナダ34%、森林セラピー先進国のドイツも32%程度、フランスも28%、イギリスに至っては12%にすぎません。
 そして、ダントツ日本の中で長野県の森林面積は、北海道、岩手に次いで全国3位、森林率は78%です。
 まさに世界的にも誇れる森林資源なのだと思います。この暑い夏を乗り越えるために、日本中から観光客を長野県の森林に呼び込むだけでなく、素晴らしい効用を持つこれだけの森林を是非、世界的にアピールしていくべきでしょう。日本、長野県の森林資源というものは、先進国の人々にとって憧れなのです。
 地球温暖化が進行し、ストレスが社会問題となっている今日、長野県の美しい森林がいよいよ時代のニーズに応える時代が来たのだと思います。

(2008.06.22)

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