新年経済への心構え~厳しいのは当たり前。チエを出そう~(2008.01.15)

2008年の経済を展望すると、厳しいスタートだが一時足踏み後の2%成長か 

 サブプライム、歴史的な原油高と厳しいスタートを切った新年だが、政府が発表した経済見通しによると、今年度の実質経済成長率は2.0%となる見通しである。主なシンクタンクもおおむねこの近辺の予想をしている。
 予測の背景となるシナリオを見ると、前半はサブプライムローン問題による米国経済の減速や日本の改正建築基準法施行後の住宅市場の混乱などにより景気は減速を続けるが、後半にかけてはこれらも落ち着き、輸出の緩やかな回復や住宅投資の大幅減少の反動での増加などで、その結果、2%ぐらいの成長になると見込まれている。
 したがって、後半好転する条件は逆に景気のリスク要因と考えられ、今年は回復条件とリスクの綱引きのような経済とも考えられる。
 リスク要因を挙げれば主に以下のような点だ。(1)米国の住宅市場の調整が深刻化し景気を一層減速させる恐れ。(2)また、そうなった場合、米国の大幅な利下げ対応で日米の金利格差が縮まり円が買われることから急激な円高となり、輸出が減少する懸念。(3)改正建築基準法の影響が長期化した場合、マンションや工場などの建設が減ることに加え、工場の着工等の遅れによる機械受注への影響。(3)原油等の原材料価格上昇による企業収益への影響に加え、ガソリン・灯油の上昇による個人消費への影響など。
 2%成長というメインシナリオとリスク要因を見比べると、最近のサブプライムローン問題の予想外の広がりや、原油1バーレル100ドルなどという状況を見ると、リスク要因が現実化するほうのシナリオに早くも軍配が上がりそうな気さえしてくる。

新年経済への心構え~実は経営にとって経済環境など関係ないのです~ 

 景気はどうも厳しいらしい。ではお先は真っ暗かというと経営というものはそういうものではないらしい。いろいろ経営者の声をお聞きすると、そのようにはとらえていないことがわかる。
 今年の正月に民放の経済特番に出演したが、その番組の中で県内企業の社長方の元気の出る心強い言葉を多く聞いたので紹介させていただきたい。
 先ず、大手コンデンサメーカの社長さん。「経営環境は原材料高や円高で厳しいが、製品開発や製造方法を工夫して乗り越えることが重要。逆に円安や原材料安で業績が良いというのでは本物ではない。本当の良し悪しは経営環境に関係なく世界で売れる商品を持つこと。」とした上で「2008年は厳しいが、厳しいからこそチエを出して挑戦することが大切だ。」と話されていた。
 大手食品メーカー社長さんは、「企業はその業績の良し悪しを景気が悪いだとか原油高などの環境のせいにしてはいけない。先見性や努力を以ってわずかでも成長し続けることが大切。」そして「経済は本来厳しいものだ。」とした上で「自分の実力に合わせ、ゆっくりと成長していけばいい。」とも言っている。正に好業績の企業経営者のスタンスには共通点があるものだ。
 そうは言っても、私的には、今年の経済は米国経済の減速によりその分減速はするものの中国・インドを中心とした新興国の成長に支えられ緩やかな成長を続けると思う。

 しかし、たとえ景気全体がどうなろうと、「チエを出して世界に通用する商品を開発し、身の丈に合った成長を続けることが重要」と考えていきたい。

(2008.01.15)

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