スポーツの秋、突き出たお腹と経済(2007.09.27)

スポーツの秋、自分の腹回りをみてみよう

 スポーツの秋、突き出たお腹を抱えながら運動会をされた方も多いのでは。怖いメタボリックシンドロームと経済について、自分の胸ではなくお腹に手を当てて考えてみよう。

 昨年の流行語大賞トップテンに選出されるなど、今や国民的な関心事ともなったメタボリックシンドローム。肥満に高脂血症や高血圧、高血糖が重なった状態で内臓脂肪症候群とも呼ばれる。内臓脂肪の蓄積量として、おへそまわりが男性85cm以上、女性90cm以上が危険としている。

 原因としては偏った食生活や運動不足が考えられ、心筋梗塞や脳梗塞、動脈硬化などになりやすい。そして、今年の春頃公表された厚生労働省の2005年国民健康・栄養調査によると40―74歳の中高年男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリック症候群の該当者か予備軍だという。

 この割合で長野県を考えると、25万人が予備軍と県の衛生部では推計している。

これって経済的に考えると?

 言うまでもなくメタボリックなお父さん方は、心筋梗塞や脳梗塞等の爆弾を抱えて生活をしている様なものだが、爆弾が炸裂した日には、自分の生活のみならず、経済的な影響も大きい。

 先ず、健康の悪化は会社を休みがちになるとか、創造性やモラールの低下をもたらすなど企業の生産性に深刻な悪影響を与える。また、医療費負担も増加させる。

 矢野経済研究所の試算によればメタボリックシンドロームにより医療費が6兆円あまりかかる。 年間30兆円を超える国民医療費に対する削減は緊急の課題だが、大変な財政圧迫要因となる。

 そのため、国ではメタボリックシンドロームによる将来的な医療費増大を抑えるために、来年の4月から「特定健康診査・特定保健指導」を導入する予定。これは40歳以上の健康保健組合等の医療保険者を対象に健康診断を実施し、検査により早めにメタボリックシンドロームを発見し、病気になる前に指導をするもの。

 これはまた新たなビジネスを創出する。具体的には、健康診断やそれに伴う健康指導ビジネスなど。これに中性脂肪対策のためのトクホ(特定保健用食品)(茶カテキン)などを合わせれば先の推計によれば1兆600億円ほどの市場規模になるようだ。

 財政赤字を減らすためのビジネスが盛んになることは望ましい。

メタボリックシンドローム、予防・改善に大切なのは

 メタボリックシンドロームの予防・改善のために、厚生労働省が挙げている標語を紹介する。

 「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」。クスリに頼らず痩せる努力をしましょうということだ。ものごとには優先順位があるものだ。

 第一生命保険のサラリーマン川柳に「脳トレをやるなら先に脂肪トレ」という傑作があった。この通りで、例えば50過ぎて脳トレをやったら20代だと喜んだら、翌日脳梗塞で倒れたらシャレにならない。

 歪んだ生活習慣を直すことがいの一番に大切なのだろう。

(2007.09.27)

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