エネルギー源としての木質バイオマスチップ生産の動き<2023・02・10>

 近年、CO2排出量削減の要請などで再生可能エネルギーへの転換が一層求められる中、工場や事業所等で使用するボイラーを石油等の化石燃料から木質チップ燃料に切り替えたり、バイオマス発電施設が全国で増えていることを背景に、燃料となる木質バイオマスチップの利用量は増加傾向にあります。
 そうした中、これまで間伐などで林内に放置されていた未利用木材等を、熱・電気等のエネルギー源として木質バイオマスチップに加工し、地域内の事業者に販売を始めた北アルプス森林組合の動きを紹介します。 

北アルプス森林組合(大町市)                                        地元のサントリー天然水北アルプス信濃の森工場へ木質燃料チップの供給を開始

組合で脱炭素に取り組む

 当組合は、従来から河川敷の立木の伐採や松枯れ木の処理等幅広く森林整備の受託業務に取り組む中、近年は脱炭素への取り組みの検討も進めていました。
 そうした中、地元にある大手飲料メーカー「サントリー」の工場が、CO2排出量削減を目的にバイオマスボイラーを導入することになり、当組合に対し木質チップの供給について協力要請がありました。
木質チップの原料には、間伐で発生する未利用材のほか、支障木、松枯れ木などを活用することで、継続的な原料調達が可能なことから事業化を決め、2022年4月に、主に事務所、貯木場、チップの保管庫からなる木質バイオマスセンターを設置しました。
 年間生産能力5,000tの大型のチップ加工機を使って専任職員2名が木質バイオマスチップの生産をしており、22年度の累計生産量は約900tとなる見込みです。また、翌年度以降に使用する約3,000t の原料を既に貯木場に確保しており、23年度は生産量を2倍に増やし黒字化を図る計画です。
  

左上は、木質バイオマスセンター。右下は、マルで囲んだ部分がチップ
加工機で、原料の丸太は長さ4m、直径0.5m以内の大きさまで対応できる
 

組合事業のもう1つの柱に

 当組合では、木質バイオマスチップの生産を組合事業の柱の1つに育てるため、木質バイオマスチップの需要先開拓にも力を入れています。既に市内の事業者から木質バイオマスチップの供給について相談を受けているほか、宿泊施設のボイラー用としての販路も開拓しており、5年以内には5,000tの生産を目指すとしています。
 さらに長期的には、エネルギーの地産地消に向けて、企業、公共施設、ホテル・旅館、個人宅などで木質バイオマスボイラーの導入が進むよう大町市をはじめ周辺市町村に働きかけて、化石燃料から木質バイオマス燃料への転換を促し、地域でエネルギー資源を循環させる構想を描いています。


※詳細は、経済月報2月号「トピックス」に掲載しています。ぜひご覧ください。

 

 

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